by Mike | Jul 11, 2022 | ガイド&資料 , 私たちにできること
犬の食事:肉の割合はどのくらい?:市販のフード・手作り食の肉の割合
「犬とはお肉を食べるもの」。そう思っている方が大多数だと思います。実際、犬や猫のグッズを扱う専門店には肉の割合をとても高くした高級なフードがたくさん並んでいます。手作りの場合も、半分くらいの割合が肉、そしてBARF Diet では多くて 8割が(骨を含む)肉、となっています。
オオカミのような食事が理想?
たとえば、ドイツ発祥の BARF。生物学的に(Biologically) 適切な(Appropriate) 生の(Raw) 食事 (Food) の略と一般に言われます。たしかに高品質の生肉や新鮮な果物・野菜は、食事全体のクオリティからすると粗悪な加工フードよりずっと優れています。多くの場合、良質な素材を使った肉の含有量が高い加工フードも同じです。
これらは「犬の祖先であるオオカミのような」「自然の食事」に近いもので、「理想的」とされていますが、これについてもっとよく見てみましょう。
犬と狼は「生物学的に」同じか?
犬が人間と暮らすようになって1万年以上経ちます。祖先であった狼と犬の決定的な違い、それは何か?私たち、人間の影響です。
もともと人間が狩猟採集をしていたころから人間の残飯(狩った獲物の残りや食事の残り)をもらう代わりに人間の役に立つことで相互関係を築いていった犬という種 Canis lupus familiaris。狼(Canis lupus)とは別の生物種になったのです。
二つの種を分けている要素は多くあります(ほとんどの犬は狼より身体が小さいなど)。2013年に科学誌「ネイチャー」に掲載された研究 では、二つの種の全ゲノム塩基配列の再解読を行いました。そして、犬は家畜化の過程で狼とは異なる遺伝子36個を進化させたという事実が明らかになりました。
36個の遺伝子のうち半分以上は脳に関するものです。これによって犬は人の表情や行動を読み取り推測する能力を身に着けました。(例えば、人の悲しい表情に対して犬がストレスを感じている ことを明らかにした別の研究もあります。)
犬にとっての自然な食事は人の影響なしにあり得ない
「ネイチャー」掲載の遺伝子の研究では、もう一つ明らかになったことがあります。それは、「10個の遺伝子はデンプンの消化および脂質の代謝に重要なものであり、現在のイヌは肉食性のオオカミと比較してデンプンの多い食餌でもうまく生きていけるようになっている」ということです。
この研究は2013年に発表されていますが、例えば BARFは1993年にオーストラリアの獣医により出版された本がきっかけとなっています。30年前です。
農耕生活が始まり穀物や野菜を育てるようになった後も、犬は人の残飯をもらうことで生き延びてきた。つまりそれは犬が穀物(でんぷん質)を食べて生きてきたということです。そしてそのために必要な遺伝子を持つようにまで進化している。それが現代の犬です。
犬にとって自然な食事。それは、人間の暮らしとともにあるのではないでしょうか?実際、オオカミが食べている野生動物の肉と、現代の犬たちが食べている家畜の肉は、全く違っています。狭い場所で効率よく家畜を育てるために抗生物質やホルモン剤が多用されていることは、すでに周知のこととなりました。また、同じ動物である家畜の「幸せ」(アニマルウェルフェア)についても動物と暮らす私たちには気になる視点です。
ヴィーガン食を試してみよう
犬をこよなく愛する国イギリスで2022年4月に発表された研究 では、栄養のバランスが取れていればヴィーガン食方が肉の割合が高い食事に比べて犬にとってより安全で健康であることがわかっています。
2500頭を対象としたこの研究では、22種類の病気と獣医へ通う回数を指標としました。そのうち、獣医へ通う回数は、肉食の犬ではそのうちの半分が、ヴィーガンの犬では1/3が定期的に(病気のため)獣医へ通っていることがわかりました。
完全なヴィーガン食をしている犬もたくさんいます(猫は難しいです)。2021年の別の研究 では、犬にとってヴィーガン食が「まずい」ものではなく、おいしいものでありうる、ということもわかっています。
完全にヴィーガン食に切り替えなくても、肉の割合を減らすこと自体は、地球のためにも健康のためにもいいことです。最低でも週に1度くらいは、ヴィーガン食またはベジタリアン食にしてみませんか?
by Koki | Jul 4, 2022 | ガイド&資料 , 私たちにできること , 私たちの課題
2020年から2021年にかけて4回シリーズで行ったMore Than Usセミナー。以下の記事は、メンバーのKokiによる全4回を終えた振り返りのレポートを、一部編集のうえ再掲したものです。
こんにちは。今回報告を書かせていただきますメンバーのKOKIと申します。簡単にまとめると、東京都内でパーソナルトレーナーをしており、動物や自然が大好きです。今までは犬や猫、インコ、ハムスターなどと一緒に暮らしてきました。第2回目からセミナーを知り、その後は全参加してきました。
2021年5月27日のMore Than Usオンラインセミナーの最終回。今回のテーマは『ドーナツとアリのおじいさんー地球とともに生きるにはー』 。Puffy’sのCo-founder であるMariさんがお話ししてくれました。また後半は参加者の方とのディスカッションもあり、セミナーに出てきたポイントのいくつかについて、話題が広がっていきました(ヴィーガン食や、社会における分断、それを生まないために白黒つけすぎずグレーと共存すること、など)。
世界のGDP(国内総生産)は、1950年から約10倍になり、私たちの生活は便利さを追求してきました。ここで重要なのは経済の成長曲線のどこにいるのか。まだ低いところにいるのか、ピークにいるのか。
今一番求められるのは 何を犠牲にしているのか問う姿勢なのではないでしょうか。
僕は「ドーナツ経済学」 という言葉を初めて聞きました。なので自分なりに調べ自分なりの考えをまとめてみました。
この緑色のドーナツより内側(中心)の空洞は、エネルギーや水、住宅など、人々が暮らす上で必須のもの が欠乏している状況を示しています。その不足を埋めることで、社会基盤を緑色のドーナツ部分に引き上げることを目指しています。逆に緑色のドーナツの外側は地球環境に負担がかかっている状態 を示しています。気候変動、生物多様性の損失、土地変換、窒素及びリンの投与など4つの分野が超過。
つまり、環境面での超過と社会面での不足を無くし、すべてをドーナツの「中身」におさめること 。便利さを追求し過ぎず環境に配慮することが重要になってきます。
ちょっと難しい例えになるかもしれませんが「良い状態にいる」には努力し続けることが必要です。これは地球環境だけでなく僕たちの「健康」もそうです。そしてどれだけ自分の為、自分以外の為にその選択をできるのか。
このバランスをとることはとても難しく練習が必要です。
その選択をするにも良い面だけでなく、裏側の実態を知ることが必要になってきます。それを知る方法が、本でもSNSでも誰かの話でも良いと思います。まず知ろうということが大きな一歩で、次にやってみようかな(選択)に繋がります。
視点を自分以外に向けるには心の安定、健康 は大前提です。なのでそういった選択ができない時もあるかもしれませんがそんな自分も受け入れることを忘れないでください。僕もそんな日たくさんあります。特に疲れていると自分中心になってしまいます…
今回の報告がみなさんのいろいろなことの選択につながればいいなと思っています。
Column:Half Earth~「アリのおじいさん」からの提案~
Half Earth、「地球の半分」は、アメリカの生物学者E.O.ウィルソン博士が2016年の著書 “Half-Earth:Our Planet’s Fight for Life”(地球の半分-地球の生命のための地球の闘い [スタッフ訳])にある提案です。ウィルソン博士はアリの社会についての体系的な研究をまとめ「社会生物学」という分野を切り開いた世界的に著名な生物学者。Half Earthは、自然と生物多様性を守るために地球の半分を保護区 にするという提案です。最近ではアメリカ政府がこれを参考に2030年までに30%という目標を掲げたことで再度注目を集めました。と、このように書くと規模が大きく何だか縁遠い話のように感じますが、つまり地球を人間だけのものとして使わない、ということ。例えば「ノラ猫は迷惑です」といった考え方とどう向き合うか、という身近な問題にもつながっています。
僕は今まで、地球、動物の現在の暮らしについて考えていませんでした。
昨年、コロナが流行し始めた頃にSNSで環境についてなんとなく知り、興味を持ち本を読み始めました。そして地球にやさしい商品を色々と買い漁り、モノを買うことでその選択の意味を探していましたし 、単純に「かっこいいから」という気持ちでスタートしました。今でもかっこいいと思っていますし、そんな自分が好きです。でもこのような選択を継続していくうちに、美しさの裏側 に目を向けるよくになりました。無意識のうちに、自分の都合の良くないことは見ないフリをしていたんだと今では思います。これに関してはたくさんあるなぁ…と。
一つ大きなきっかけとなったのは、第2回目のセミナーをきっかけに、動物たちの扱い方 、衛生環境の実態を知ったことです。
動物が好きな僕にとっては悲しさもありましたが、今では知って良かったと思います。
なのでこのブログを読んでいるみなさんとは、きっかけは少し異なっているかもしれません。僕の経験からお話できることは「行動し続けること」 で本質的な魅力に気付くということです。この行動については、本を読む、動画を見る、セミナーに参加する、その現場で実際に活動している方の話を聞く、SNSで自分の考えを発信していくなどです。方法はたくさんありますが、大切なのは自分の負担の無い範囲で続けることです。
by archer_thecorgi | Jun 12, 2022 | ガイド&資料 , 私たちにできること
私たちのパートナーである犬や猫。彼らとのライフスタイルを少し変えるだけで地球の未来を変えられる、ということを「犬・猫との暮らしと地球温暖化~Pawprintを一緒に考えよう~ 」の記事ではお話ししました。例えば移動手段を自家用車から公共交通機関・自転車に変える、オーガニックの食材を取り入れる、エシカルな方法で生産された製品を購入する、など自分たち人間ができることは比較的簡単に・具体的にイメージが出来ると思います。ですが、愛犬・愛猫の生活となると、なんとなくイメージしにくいという方も多いのではないでしょうか。特に食事については、「地球のため」と思っての選択が逆に彼らの生活の質を落としてしまうのではないか、という不安もあると思います。
今回の記事では、実際に愛犬との生活において、エコロジカル・サステナブルなライフスタイルという課題に取り組んでおられる archer_thecorgi さまにお話をうかがいました。
以下ご寄稿記事 筆者: archer_thecorgi さま 記事中画像はすべてarcher_thecorgi さまからのご提供です
archer_thecorgi
1. 愛犬との生活:Life with Archer
愛犬と夫婦2人の生活も今年で5年目に入りました。今現在わたし達夫婦にとってArcherとの生活がわたし達の生活です。5年前まではそれぞれの趣味やライフスタイルがありましたが、今は愛犬との生活にいい意味で没頭しています。元々の趣味も愛犬と共にできることが優先になり、愛犬を連れて一緒に出かけることが多くなりました。交友関係も愛犬繋がりでの友人と出かけることも増え、車で行ける範囲で犬連れでの旅やお出かけを楽しんでいます。
2. 愛犬と共に生活するからこそ見えてくるサステナブルな在り方
以前から自分たちのできる範囲で、エコロジカルなライフスタイルに取り組んでいましたが、愛犬との生活の中で、サステナブルでエシカルな生活にしていくことの大切さに以前にも増して気づかされました。ここではその気づきについて少しお話していきたいと思います。
archer_thecorgi
犬や猫、どんな動物でも人間同様衣食住には消費が関わってきます。そして消費することを考えると、犬を飼うことは飼わないよりもエコではないように感じます。ですが、愛犬を迎えたことで得られたわたし達夫婦のライフスタイルは、確実にエコロジカルな方向へシフトしていると実感しています。日々の生活時間は規則正しくなり、毎日愛犬と散歩へ出ることで徒歩移動に対して抵抗感がなくなり、爽やかさを感じるようになりました。新型コロナウイルスの影響もありますが、海外旅行が多かった長期休みは、愛犬が喜ぶ自然と戯れるアウトドアアクティビティが堪能できる国内旅行に代わりました。以前からですが夜は室内灯の使用は控え入眠に備えたり、市中心部で生活していた頃はどうしたら愛犬や私たちがストレスなく生活していけるのかを日々考えていました。新居に引越してからは朝日が気持ち良い日は日向でゆっくりな朝を過ごすこともあります。
archer_thecorgi
愛犬の行動やボディーランゲージを日々観察していますが、私たち人間も随時ストレスをコントロールすることの大切さを学びました。食の選択も愛犬を迎え一層気にかけるようになりました。人間同様雑食な愛犬の食事は手軽さや値段より、手間でも人間と同じ食材を使い季節を考え手作りしています。自ら語ることのできないパートナーの健康を食事から維持し安定させることは、彼らにとってもサステナブルなライフスタイルであると考えます。人間の食生活も然り。できる範囲で食材の生産地や生産方法、流通ルートや、もちろん品質を確認しながらサステナブルでエシカルな方法を選択し、信頼できる生産者さんやブランドを利用することによって安心して地球環境に優しい方法で消費することができます。そして、パートナーの食を別と考えるのではなく、家族みんなで同じ食材を消費することで食材の無駄も減りました。
3. より地球にやさしい消費活動:サステナブルな愛犬用アイテム
archer_thecorgi
Hurtta というフィンランド発の犬用ギアブランドのEcoシリーズを数点所有し愛用しています。Ecoシリーズはリサイクル素材である回収ペットボトルからできた再生ポリエステル繊維を80-100%(一部60-80%)使用した製品で、作りやデザイン、性能がしっかりしており信頼して使用しています。また、Litto Howler のリードや首輪も信頼して使用しています。Litto Howlerはアメリカのギアブランドで、安全性最優先最重視、リード修理サービス、再利用&リサイクル可能なパッケージを使用、マスプロダクションではなくひとつひとつ手作業で作製しブランドやコミュニティに情熱を注いでいます。ここのリードはアウトドアで使用する人や状況、環境を考えデザインされており、通年通してアウトドアアクティビティで大活躍しています。
作りや安全性がしっかりしている商品を購入することで、破損頻度の低下や充分な製品満足度にも繋がります。無駄な買い替えが控えられるためサステナブルかつエコな選択ではないかなと思っています。
食分野では、More Than Us の読者の方にはおなじみだと思いますが、Puffy’s Natural Life の製品は欠かせません。Puffy’s Natural Lifeは犬猫専用オーガニックサプリメントのブランドです。オーガニックかつホールフードの素材を使用していること、地球環境と身体の健康の繋がりを重視していること、パッケージを脱プラ再利用で徹底していること、そして何よりもPuffy’s Natural Lifeの製品は犬猫の身体の健康を最優先に考え作られていること。とても信頼して利用している国内ブランドです。
4. 愛犬の食生活:愛犬の体質を第一に選択肢は広く
archer_thecorgi
Archerを迎えて約半年がたった頃に、あることがきっかけで犬の食について調べ始めたことがありました。そして目に止まったページに変に納得し、犬には肉食が必須だと思っていた頃がありました。そして犬のヴィーガンやベジタリアン食はただの食の流行りや新しい食のスタイルの流れで、犬の食事にも当てはめているだけだと思っていました。その後、肉食やバーフダイエットを経て、愛犬の症状を見つつ東洋医学の分野や手作り食についてわかる範囲で学び、セミナーやカウンセリングを受けたりしました。そのようにして調べ学んでいく中で、ライフスタイルやArcherの体質に合う食事を考えた時に、必ずしも肉食やグレインフリーでなくてもいいのだということがわかりました。
More Than Usサポーター パフィーズナチュラルライフ 記事中ご紹介いただいたパフィーズナチュラルライフは、More Than Usのサポーター企業です。
by Mina | Apr 30, 2022 | ガイド&資料 , 私たちの課題
More Than Usでは2020年から2021年にかけて、動物福祉・地球環境問題について包括的にお話しする4回シリーズのセミナーを開催しました。ブログ記事の形でその内容をご紹介します。
「私たちの生命は生物学」 と題したシリーズ3回目のセミナーでは、46億歳の地球とそこに住む命の足取りを地球の誕生からたどりました。
隕石がぶつかり地球の軸が傾いたことで、地球には様々な気候と環境が生まれます。最初は酸素もなく生き物もいなかった地球。そしてついに、最初の単細胞生物が水中に現れます。私たちのようなDNAも持たず、光合成もできなかったこの微生物が熱と硫黄を消費し酸素を作り出したのです。
そこから地球には、様々な生物が現れては消えていきます。カンブリア紀に爆発的に生物の種が増えた後、植物・動物はどんどん大きくなっていきました。爬虫類が地上を支配するようになり、恐竜が登場。恐竜は進化の観点から非常に成功した生物ですが、身体が大きいため食物をたくさん必要としました。
そして6千 600万年前、また別の惑星が地球にぶつかり、地球を煤が覆ったことで、植物が絶滅。草食恐竜は食べものがなくなり、その草食恐竜を食べていた肉食恐竜も死に絶えました。恐竜の絶滅です。
恐竜の絶滅は、生態系(ある場所にある土や空気や水などのひとかたまり)には波及効果があることを教えてくれます。惑星は恐竜にぶつかったのではなく、植物が地球への惑星衝突の結果死に絶え、それによる食べもの不足で恐竜が死に絶えたのです。ですから特定の生物種が絶滅するとき、その影響はその生物にだけ及ぶのではなく、すべてのつながっている生物に及ぶ、ということです。これは大切な教訓です。
恐竜・その他の生物が絶滅し、生き残ったのが私たちの最初の哺乳類の祖先「アデロバシレウス 」です。ネズミほどの大きさのこの生物が、私たちほ乳類すべての祖先なのです。この生物とそれに続いた初期の哺乳類はみな、恐竜を避けるため夜行性で木の上に住んでいました。
このアデロバシレウスは目が大きく嗅覚が発達していたのですが、そこから得られるたくさんの情報を処理するために大きな脳が必要でした(恐竜はクルミの実ほどの大きさ)。
これだけ大きな脳を持つ動物は地球の歴史上はじめてで、さらに、そのため成長により時間がかかり卵でなく赤ちゃんを育てるというスタイルが発達しました。恐竜のいない地球でこうした生物が繁栄し何百万年もかけて多様な哺乳類に枝分かれして進化していきます。
この何億年もかけてつくられてきた地球のシステムは、人間が作ることはできません。これだけ地球に影響を及ぼしている人間ですが、人間が地球に出現したのは、地球の歴史をカレンダーに例えると、12月31日の夜11時、という、非常に最近のことなのです。
何十・何百億年をかけて培われてきたものを簡単に取り換えることはできないこと、私たちはこれを忘れてはならないのです。
by Mina | Apr 30, 2022 | ガイド&資料 , 私たちの課題
More Than Usでは2020年から2021年にかけて、動物福祉・地球環境問題について包括的にお話しする4回シリーズのセミナーを開催しました。ブログ記事の形でその内容をご紹介します。
「卵と草原と動物解放」と題したシリーズ2回目のセミナーでは、やわらかく「アニマルウェルフェアとは何か?」を考える1時間を目指し、まずはよく知られる「5つの自由」を「うちの子」に当てはめることからスタート。ドッグトレーナーで More Than Us メンバーの Misaki から、犬のストレスへの対処方法として「ストレスにうまく向き合えるようにしてあげる」ことについてお話しました。
そこから、5つの自由を野良猫、動物園や水族館の動物、さらには家畜に当てはめるとどうか?と少し考えていただきました。例えば野生のイルカは種類によっては1000キロ以上にもわたっていること、それを考えるとどんなに広い水族館でも5つの自由の5番目(正常な行動を表現する自由)は確保できないことなどを紹介しました。
そして、もともとアニマルウェルフェアは「人間による動物の支配の歴史 」への反動であったことをお話しました。西洋では古代ギリシャ時代の哲学者やユダヤキリスト教の要素を基盤としているとされる、人間優位の歴史です。17世紀には「動物は機械である 」とする考えが最高潮に達し、やがてその反発としての現代のアニマルウェルフェアの芽生えに続きます。
写真:18世紀の啓蒙主義の思想家、ジェレミー・ベンサム
問題は、彼らが思考できるか、ということでも、彼らが話せるか、ということでもなくて、彼らは苦しむことができるか、ということである。
ジェレミー・ベンサム
18世紀には、後に多くのウェルフェア家が引用する上記の有名なセリフを思想家ベンサムが残し、現在の、痛みや苦しみを感じる動物には人間は配慮をすべき というアニマルウェルフェアの考えが生まれています。5つの自由が出てきたのは1960年代のイギリス。これは家畜の扱いについて厳しい批判をしたルース・ハリソンの『アニマル・マシーン』という本がきっかけです。
現在、最もよく知られる関連著作のひとつに哲学者ピーター・シンガーの『動物の解放』 があります。シンガーは動物への「差別」を「種差別」とし、人種や性別に基づいて行われる差別と同じとし、痛みや苦痛を感じる生き物たちへ、人間からの配慮の「枠」をいかに拡大できるかを問いかけています。
「うちの子」たちはお肉をたくさん食べています。卵や乳製品のパッケージによくある広々とした草原とは裏腹な現状。人間の管理下にある他の動物たちも同じことです。「うちの子」の幸せとは格段に違うレベルです。
セミナーの最後に、自分たちに何ができるか? を一緒に考えてみました。まずは「知ること」。そして自分で考えてみてから、アクションを取ること。人間はこの地球に暮らす以上、誰しも動物に関係のない人はいません。アニマルウェルフェアは「動物好きな人」が考えることではなく 、人類みんなに関係のある問題である、だから関係ないと言っている人に考えてもらうことが大切、ということをお話しました。
考えてもらうにはどうしたらいいか?こうしたことを一気に一人で解決することはできませんし、無理をしすぎると怒りや分断を生むということをお伝えしています。たとえば「ビーガン」は難しくても基本は植物ベースで過ごしてみる「フレキシタリアン 」スタイルなど、より人にも進めやすい柔らかいやり方も今はたくさん選択肢があります。できることからはじめよう、月並みですがそんな話で締めくくりました。
by Mina | Apr 30, 2022 | ガイド&資料 , 私たちにできること
「犬・猫との暮らしと地球温暖化~Pawprintを一緒に考えよう~ 」の記事では、気候変動問題について考えるにあたって、特にお肉メインの食事を犬に与えることが課題になるということをお話ししました。「そうは言っても、お肉をあげないとダメなんじゃないか?」という疑問はどうしても湧いてきます。ですが、犬が人間と共に遂げてきた進化の道のりをたどると、「絶対お肉じゃなくても大丈夫なのかな?」と視点が広がるヒントが見えてきます。この記事では、犬が人間との生活で遂げた進化と、そこから見えてくるライフスタイルの可能性についてお話ししたいと思います。
犬と人間との長い付き合い:狼から狩猟のパートナーへ
まずは、犬と人との出会いまでさかのぼってみましょう。犬の祖先である狼と人間はいつ出会い、狼はいつ「犬になった」のか。出会いは恐らく3万年ほど前のヨーロッパだったのではないか、など様々な説がありますが、犬と人間との縁は「万年単位」の大昔にさかのぼります。2017年には、サウジアラビア北西部にある遺跡から犬と共に狩りを行う人間の姿を描いた岩絵が発見されました。紀元前7~8世紀に描かれたであろうとされるこの岩絵からは、人が犬と共に高度な戦略を用いた狩猟をしており、犬がすでに大切な狩猟のパートナーとして管理されていた可能性があることが分かったそうです。(National Geographic 、Journal of Anthropological Archaeology )
犬と狼は違う生き物:人との暮らしで変化した犬の食生活
何万年も前に始まった人間との生活の中で、犬は人間が食べる物を食べられるように進化していきました。犬にとって最も自然・理想的な食事として、狼の食事(wolf diet)、バーフダイエット(BARF:生肉を中心とするローフード)という言葉を見ることが多くありますが、実は犬は私たちが思う以上に狼とは違う動物です。
その大きな違いの一つが、犬が持つ穀類を消化することができる能力 。狼は持たないこの消化能力は、農耕を行う人類と共に暮らす中で獲得されていったと考えられています。つまり、犬は大昔から雑食で、お肉が中心の食事が必ずしも絶対ではないということが分かります。
私たちの気持ちは犬に筒抜け?人間の感情を理解するよう進化した犬
少し話題がそれますが、人間との生活で犬が遂げた進化は、消化能力だけではありません。新型コロナウイルスの蔓延にともなうステイホームという状況の中、犬を始めペットを家族に迎える人が増えました。2020年に海外でペットと暮らしている人を対象に行われた調査では、約90%の人が「ペットが精神的な支えになっている」と回答しています。(National geographic ) 犬が自分の気持ちに寄り添ってくれているな、と感じる場面は日常生活の中に多くあると思いますが、犬の脳は人間の感情を理解できるように進化したということが研究により分かっています。(Plos One )また、別の研究では、怒った顔・ストレスを感じている顔をした人の写真を見せられると、犬がストレスを感じるということが分かったそうです。(Learning and Behavior )
プラントベースから昆虫まで!?多様化するワンちゃんのグルメ事情
日本ではまだなかなか見かけませんが、欧米では肉がメインではないフードがすでに登場しています。プラントベースのヴィーガンフード や、昆虫プロテイン(!)を使用したものまで、実にバラエティ豊かです。また、肉や魚だけでなく豆類をたんぱく質源として使う、肉・魚を使わないヴィーガンレシピの日を設けるなど、レシピの幅を広げて手作り食を楽しむ人もいます。犬は(もちろん避けるべき食材はありますが)、私たちが思う以上に種類豊富な食材を健康的に楽しむことができる。そう考えると、ちょっとワクワクしてきませんか?
犬の食事と健康については、専門家のMikeから別の記事でまた詳しくお話しする予定です。お楽しみに!