More Than Usでは2020年から2021年にかけて、動物福祉・地球環境問題について包括的にお話しする4回シリーズのセミナーを開催しました。ブログ記事の形でその内容をご紹介します。
「卵と草原と動物解放」と題したシリーズ2回目のセミナーでは、やわらかく「アニマルウェルフェアとは何か?」を考える1時間を目指し、まずはよく知られる「5つの自由」を「うちの子」に当てはめることからスタート。ドッグトレーナーで More Than Us メンバーの Misaki から、犬のストレスへの対処方法として「ストレスにうまく向き合えるようにしてあげる」ことについてお話しました。
まずは、犬と人との出会いまでさかのぼってみましょう。犬の祖先である狼と人間はいつ出会い、狼はいつ「犬になった」のか。出会いは恐らく3万年ほど前のヨーロッパだったのではないか、など様々な説がありますが、犬と人間との縁は「万年単位」の大昔にさかのぼります。2017年には、サウジアラビア北西部にある遺跡から犬と共に狩りを行う人間の姿を描いた岩絵が発見されました。紀元前7~8世紀に描かれたであろうとされるこの岩絵からは、人が犬と共に高度な戦略を用いた狩猟をしており、犬がすでに大切な狩猟のパートナーとして管理されていた可能性があることが分かったそうです。(National Geographic、Journal of Anthropological Archaeology)
以前に比べて、地球温暖化や異常気象の問題はより日常的な話題としてメディアで見かけるようになったように感じます。2021年11月のCOP26で決定された「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える」といった目標はニュースでも大きく取り上げられましたし(SDGs Action!, The Asahi Shimbun)、「脱炭素社会」「カーボンニュートラル」、そして「カーボンフットプリント」などの言葉も目にすることが増えてきたのではないでしょうか。
犬・猫が排出する温室効果ガスが地球温暖化問題に影響を与える。初めて聞いたとき、筆者はピンときませんでした。「犬・猫って身体も小さいし(筆者の住んでいる地域には小型犬が多いです)、交通機関を使うわけでもないし、排泄物も吐き出す二酸化炭素もたかが知れてるんじゃない?」が正直な感想。そんな思い込みを180度変えてくれたのが、More Than Us代表でもあるMariが口にした「中型犬一頭を飼うことは、SUV車4台をもつことと同じ」という言葉でした。
温室効果ガスという点から考えた時さらに問題になるのが肉食です(肉食と地球温暖化についてはまた別の記事でお話しします)。同じアメリカの研究によると、犬・猫が食べる肉由来の二酸化炭素は年間64万トン。これは13万台の車が1年間に排出する炭素の排出量に匹敵するそうです。(Plos One)また、一般的な体格の猫1匹で年間310kg、中型犬で770kg、グレートデーンのような大型犬なら2,500kgの二酸化炭素を直接的・非直接的に排出する、という数字を出しているイギリスの研究者もいます。(How Bad Are Bananas P.131)
犬・猫との暮らしが環境に残す足跡:Pawprint
人間と暮らしている犬・猫が環境に及ぼす影響は世界的に大きな課題として認識されてきており、特に欧米では「Pawprint(四つ足の足跡)」として数年前から注目されていて、様々なアクションがすでにとられています。「肉食が原因と言われてもごはんでお肉をあげるし…」「肉食がだめってことは犬にベジタリアンになれってこと?」色んな疑問が頭をよぎると思います。ですが、実際には思ったよりもやわらかなアプローチで問題解決に貢献していくことができます。More Than Usでは、欧米ですでに行われている取り組みや、各分野の専門家のお話も紹介しつつ、私たちにとって大切なパートナーとの生活が環境に残す足跡「Pawprint」について何ができるかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。