皆さんのワンちゃん・猫ちゃんは毎日どんなごはんを食べていますか?フードの子、お肉・お魚メインの子、お野菜たっぷりの子、いろんなメニューの子がいると思います。毎日毎食、犬・猫の健康と幸せを願って用意するごはん。そのボウル一杯で地球の未来を変えられる!としたら、どうしますか?犬・猫が食べるほんの少量のごはんと地球の未来。到底結びつかない話題のようですが、実はそうでもないんです。この記事では、犬・猫との暮らしと地球温暖化の関係についてお話ししたいと思います。


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カーボンフットプリント:私たちの生活が環境に残す足跡

以前に比べて、地球温暖化や異常気象の問題はより日常的な話題としてメディアで見かけるようになったように感じます。2021年11月のCOP26で決定された「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える」といった目標はニュースでも大きく取り上げられましたし(SDGs Action!, The Asahi Shimbun)、「脱炭素社会」「カーボンニュートラル」、そして「カーボンフットプリント」などの言葉も目にすることが増えてきたのではないでしょうか。

カーボンフットプリント(carbon footprint)は直訳すると「炭素の足跡」で、商品やサービスが製造され最終的に廃棄・リサイクルされるまでの過程で排出される温室効果ガスの量を数字で「見える化」したものです。商品やサービスの製造・提供と聞くと企業だけの問題のように感じますが、私達も日常生活のなかで温室効果ガスを排出しています。例えば、移動手段を自家用車から公共交通機関へ・公共交通機関から徒歩や自転車に変えたり、エアコンの設定温度を低めにしたり、よりエシカルな方法でつくられた製品を購入するなど、個人ができる取組は色んなところで紹介されています(WWFJICA、各市町村のホームページなど)。また、英語圏では自分が排出した温室効果ガスを簡単に計算できるサイト専用アプリも登場しています。そんな中、日本ではまだまだ注目されていないエリアがあります。それが、ペットと温室効果ガスとの関係です。

犬一頭はSUV4台分!?:うんちとお肉と温室効果ガス

犬・猫が排出する温室効果ガスが地球温暖化問題に影響を与える。初めて聞いたとき、筆者はピンときませんでした。「犬・猫って身体も小さいし(筆者の住んでいる地域には小型犬が多いです)、交通機関を使うわけでもないし、排泄物も吐き出す二酸化炭素もたかが知れてるんじゃない?」が正直な感想。そんな思い込みを180度変えてくれたのが、More Than Us代表でもあるMariが口にした「中型犬一頭を飼うことは、SUV車4台をもつことと同じ」という言葉でした。

中型犬一頭=SUV4台。これは2009年にニュージーランドの研究者が出した数字だそうです。さらに調べてみるとびっくりするような数字がどんどん出てきます。地球温暖化問題の原因としてよく目にするメタンガス。これは排泄物から発生するものですが、アメリカの研究によると、アメリカでペットとして人と暮らしている犬すべてのうんちを合わせると、その量は何と年間約510万トンにもなるそう!(Plos One)これが全世界のワンちゃんだったら、ワンちゃんだけではなく猫ちゃんも加えたら・・・と考えると途方もない数字になってきそうです。

温室効果ガスという点から考えた時さらに問題になるのが肉食です(肉食と地球温暖化についてはまた別の記事でお話しします)。同じアメリカの研究によると、犬・猫が食べる肉由来の二酸化炭素は年間64万トン。これは13万台の車が1年間に排出する炭素の排出量に匹敵するそうです。(Plos One)また、一般的な体格の猫1匹で年間310kg、中型犬で770kg、グレートデーンのような大型犬なら2,500kgの二酸化炭素を直接的・非直接的に排出する、という数字を出しているイギリスの研究者もいます。(How Bad Are Bananas P.131)

犬・猫との暮らしが環境に残す足跡:Pawprint

人間と暮らしている犬・猫が環境に及ぼす影響は世界的に大きな課題として認識されてきており、特に欧米では「Pawprint(四つ足の足跡)」として数年前から注目されていて、様々なアクションがすでにとられています。「肉食が原因と言われてもごはんでお肉をあげるし…」「肉食がだめってことは犬にベジタリアンになれってこと?」色んな疑問が頭をよぎると思います。ですが、実際には思ったよりもやわらかなアプローチで問題解決に貢献していくことができます。More Than Usでは、欧米ですでに行われている取り組みや、各分野の専門家のお話も紹介しつつ、私たちにとって大切なパートナーとの生活が環境に残す足跡「Pawprint」について何ができるかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。