More Than Usセミナーレポート「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」

More Than Usセミナーレポート「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」

2022年7月28日 More Than Usチャリティセミナー「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~ 家畜のアニマルウェルフェアってなあに?」を開催しました。

このセミナーでは、私たちと暮らすコンパニオンアニマル、特に犬との生活において、近年とくに課題として注目を集めている「肉食」について、環境負荷・家畜のアニマルウェルフェアの二つの視点から皆さんと考えてみました。同時に、日々の生活の中で楽しく喜びを見つけながらこういった課題に取り組むヒント、さらに課題に取り組むうえで直面する悩みについて、実際の例を交えつつ紹介をしました。More Than UsのYouTubeチャンネルでぜひご覧ください!

https://youtu.be/nj-xImITdfI

セミナーのポイント

犬には本当に「オオカミのような食事」がいいのか?

BARFダイエット(Biologically Appropriate Raw Food:生物学的に適切な生の食事)は、食事の80-90%が生肉を占めるお肉中心の食生活です。日本でも愛犬の食事として実践している人の多いBARFダイエットですが、「そんなにたくさんお肉をあげても大丈夫なの?」という疑問も良く聞かれます。

犬と狼は「生物学的に」同じか?

犬は人間と暮らす中で、狼と異なる遺伝子を進化させ、より人間との関係を強化する遺伝子を持つようになりました。犬と狼は生物学的に見ても、大きく異なる生きものです。このセミナーのトピックにも関連する重要な違いは、犬にはデンプンの消化・代謝に必要な遺伝子を備えており、狼のような食事以外にも適応できる、ということです。最近特に欧米では犬のヴィーガン食が注目を集めており、今年(2022年)にイギリスでは、ヴィーガン食が(栄養のバランスが摂れていれば)犬の健康にとってベターであるという研究結果も発表されています。

Pawprint~犬一頭はSUV4台分?~

犬の食生活をめぐる近年の変化の理由の一つは、犬との暮らしが環境に与える負荷が課題として認識されるようになったことにあります。「犬一頭はSUB4台分」というのは、2009年の研究による数字ですが、犬(や猫)が環境に与える負荷(特に、どれだけのCO2を排出しているか=フットプリント)は、私たちが思っているよりも実は多いです。

お肉をめぐる二つの負荷

環境負荷:家畜のための飼料の栽培・加工や運搬などの現場からはCO2が排出されます。さらに、飼料となる大豆の栽培や畜牛に必要な土地のために伐採されるアマゾンなどの森林減少が、現在深刻な問題となっています。

家畜にかかる負荷:現在全世界の農地の80%以上が家畜用に使用されています。今後はさらに肉への需要が高まり、限られたスペースでより「密」に家畜を飼育するスタイルの畜産(工場畜産)が増えてしまうだろうと言われています。

家畜のアニマルウェルフェア

アニマルウェルフェアとは、以下の5つの自由が動物にとって確保されているか、ということを意味します。

「どうせ食べるのだから」という意見もあり、反対に「家畜の幸せのために」と完全なヴィーガンスタイルを選択するという意見もあります。「たとえ最終的にはお肉になるとしても、家畜は生きものであり、痛み・苦しみ・恐れを感じることを理解し、生まれた時から完全に人間の管理下にある彼らの扱いに対する人間の責任を考える」ということが家畜のアニマルウェルフェアだとMore Than Usでは考えています。

犬や猫との楽しいエシカル ~ アーチャーくん ~

実際に愛犬と楽しくエシカルを実践されているアーチャー君のお話を紹介させていただきました。アーチャー君に寄稿いただいた記事は、こちらで全文をご覧いただけます:
愛犬との暮らしから考えるサステナブルなライフスタイル ~ 犬と暮らすからこそ見えてくること ~

悩んでいい。ヴィーガン・ベジタリアンスタイル

アニマルウェルフェアやヴィーガン・ベジタリアンに向き合うことで生まれる悩みについて、More Than Usのメンバーが率直に語ってくれた記事を紹介しました。全文はこちらでご覧いただけます:
食べれる肉・食べれない肉 ~ 食べるという選択とジレンマ ~

ともに生きるには?黒か白かではなく、できるだけ白に近い選択を

Mariの記事でも紹介したように、ギルトフリーの食べ物はいまありません。そんな中大事なのは、白か黒かではなく、できるだけ白に近い選択を極力ストレスを感じずに継続していくことだと思います。上で紹介したアニマルウェルフェアを意識し、いつもはできなくても、時々やってみることが大切です。

オーガニックコットンをきっかけに気づいた、本来の感覚|More than us

オーガニックコットンをきっかけに気づいた、本来の感覚|More than us

初めまして、アメリカのオーガニックコットンブランド 『S.O.S. from Texas』 の輸入代理店を展開しており、Puffy’s Natural Lifeさんとも、サーマルブランケットやエコバッグなどで、コラボレーションをしている、オーガニック仲間としてお付き合いをさせてもらっている宮本と申します。この度、こんなご機会を頂き、うれしく思います。あらためて、オーガニックに向き合い、想いを綴ってみようと思います。

食べるオーガニック・身に着けるオーガニック

オーガニックコットンといえば、3年以上農薬や化学肥料を使っていない農地で、遺伝子組み替えではない種子で栽培されたもので、他のオーガニックの植物と同じく、環境(土壌)や、生産者を守る栽培方法です。ただ、着る人への影響はというと、ぼくの知る限りですが、オーガニックではないコットンでも製品になった状態では人体には影響がない、ほとんどないと言われています。ここが、口に入れるオーガニックの食品とは違う点。オーガニックの食べ物は、明らかに美味しいし、明らかに身体が喜ぶ。そして、地球にも生産者にも優しいとなれば、値段的は高いといっても、生産者さんたちの手間のかかる作業やこだわりも思えば、オーガニックなものを当然選ぼう、となります。では、一見身体に特に影響がないように見えるオーガニックコットンは…?

本能が求めるオーガニックの気持ちよさ

それでもとにかく、地球や生産者を守ろうというスピリッツを持って、携わってきました。そうして、オーガニックコットンに触れ続け、年月を経た最近、自分の感覚でわかってきたことがあります。気持ちの良い日や、リラックスしたいとき、そして疲れているときや体調がよくないときに、意識せずにオーガニックコットンを選んでいる自分がいました。着心地以上の自分の本能みたいなものが、求めているんだと気づいたのです。そして、まわりの近しい仲間も同じ感覚をもっていることが分かりました!(ぼくは遅い方でしたが、、)

オーガニックコットンが思い出させてくれた「本当の感覚」

現代は科学的根拠が判断の主流になっていると思いますが、自然界において、まだ科学で証明できないものはたくさんあります。昔のひとびとは、感覚を研ぎ澄ましながら自然や動物と接し、人間の良き知恵を生かし、衣食住と自然に感謝しながら共存してきたんだなと、自分の感覚で気づくことができたのです。

オーガニックコットンは間違いなく、ぼくたちに、そして地球にとっても、気持ちのいいものなのです。

ぼくたちが生まれ持った、もしかしたら、忘れかけ始めてしまっているこの感覚。オーガニックコットンを通して気づけて、ほんとうに良かったと思っています。オーガニックは、大自然の景色のように、美しく、愛おしい。本能に響いて、ありがとうってなる。現代のぼくたちは、便利に甘えて、随分、自然に対して、ひどく負担をかけてしまっている。動物に対してもそう、見渡す限り、人中心になってしまっている。まさに、「自分たち以上(More Than Us)」に全ての生き物の命は尊い、という想いのある社会にしなければならないと強く思います。

ぼくたちの知恵を使って、できることから、少しずつ、恩返しを重ねていかなくちゃって日々、意識しています。感謝しながら、楽しみながらね!

More Than Usチャリティセミナーのご案内:「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」を考える

More Than Usチャリティセミナーのご案内:「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」を考える

セミナー内容

暑くなる一方の私たちの夏。犬や猫も暑くて動けない日が多くなりましたね。その一方でお留守番などでクーラーも欠かせなくなりました。犬や猫と暮らすことは、当然、地球へのフットプリントが増えるということ。フットプリント(footprint)は「足跡」という意味。つまり、私たちが生活する中で直接的・非直接的に環境に与えてしまうマイナスな影響(具体的には温室効果ガスの排出量)のことをここでは指します。でも、犬や猫は人間の家族と同じように大切な存在です。

このセミナーでは、飼い主と犬猫のフットプリントを楽しみながら減らす方法について紹介します。またセミナーで紹介するペットのフットプリントの基本を知っておけば、あとは自分でも工夫できます。今流行りのヴィーガンスタイルを中心に、レシピやグッズも伝授します。そして、同じ動物で家畜のウェルフェア(幸せ)についても紹介し、私たちはそのことをどう捉えて実践していけるか、なども紹介します。

実は家畜(お肉や皮製品)については、減り続ける森林を守るという視点からもヨーロッパを中心に変化が起きつつあります。コーヒーやチョコレートといった身近な食べ物も同じです。ギルトフリー(罪がない)食べ物の少なくなっている今、犬や猫と楽しく食生活を送るため、一緒にできることから始めてみましょう。

セミナー情報

主催:More Than Us
協賛:パフィーズナチュラルライフ
日時:2022年7月28日(木)午後2時半~午後3時半(1時間)
形式:オンライン(Zoom)
講師:パック まり(More Than Us Founder パフィーズナチュラルライフ共同代表)、その他
※講師は都合により変更の場合があります
詳細:以下のセミナー内容をご覧ください
お申込み方法:こちらのリンクからお申し込みフォームをご送付ください

 

お申し込み方法

以下のリンクからお申し込みフォームを送信してください。受領後、info@puffyslife.comよりZoomリンクを送付いたします。
お申込みフォーム:https://forms.gle/wqyt6wCgvq1fMCxh7

MORE THAN US過去セミナーより~「良いに状態いる」には努力し続けること。地球も、健康問題もそれは同じ。~

MORE THAN US過去セミナーより~「良いに状態いる」には努力し続けること。地球も、健康問題もそれは同じ。~

2020年から2021年にかけて4回シリーズで行ったMore Than Usセミナー。以下の記事は、メンバーのKokiによる全4回を終えた振り返りのレポートを、一部編集のうえ再掲したものです。

こんにちは。今回報告を書かせていただきますメンバーのKOKIと申します。簡単にまとめると、東京都内でパーソナルトレーナーをしており、動物や自然が大好きです。今までは犬や猫、インコ、ハムスターなどと一緒に暮らしてきました。第2回目からセミナーを知り、その後は全参加してきました。

2021年5月27日のMore Than Usオンラインセミナーの最終回。今回のテーマは『ドーナツとアリのおじいさんー地球とともに生きるにはー』。Puffy’sのCo-founder であるMariさんがお話ししてくれました。また後半は参加者の方とのディスカッションもあり、セミナーに出てきたポイントのいくつかについて、話題が広がっていきました(ヴィーガン食や、社会における分断、それを生まないために白黒つけすぎずグレーと共存すること、など)。

世界のGDP(国内総生産)は、1950年から約10倍になり、私たちの生活は便利さを追求してきました。ここで重要なのは経済の成長曲線のどこにいるのか。まだ低いところにいるのか、ピークにいるのか。

今一番求められるのは何を犠牲にしているのか問う姿勢なのではないでしょうか。

僕は「ドーナツ経済学」という言葉を初めて聞きました。なので自分なりに調べ自分なりの考えをまとめてみました。

この緑色のドーナツより内側(中心)の空洞は、エネルギーや水、住宅など、人々が暮らす上で必須のものが欠乏している状況を示しています。その不足を埋めることで、社会基盤を緑色のドーナツ部分に引き上げることを目指しています。逆に緑色のドーナツの外側は地球環境に負担がかかっている状態を示しています。気候変動、生物多様性の損失、土地変換、窒素及びリンの投与など4つの分野が超過。

つまり、環境面での超過と社会面での不足を無くし、すべてをドーナツの「中身」におさめること。便利さを追求し過ぎず環境に配慮することが重要になってきます。

ちょっと難しい例えになるかもしれませんが「良い状態にいる」には努力し続けることが必要です。これは地球環境だけでなく僕たちの「健康」もそうです。そしてどれだけ自分の為、自分以外の為にその選択をできるのか。

このバランスをとることはとても難しく練習が必要です。

その選択をするにも良い面だけでなく、裏側の実態を知ることが必要になってきます。それを知る方法が、本でもSNSでも誰かの話でも良いと思います。まず知ろうということが大きな一歩で、次にやってみようかな(選択)に繋がります。

視点を自分以外に向けるには心の安定、健康は大前提です。なのでそういった選択ができない時もあるかもしれませんがそんな自分も受け入れることを忘れないでください。僕もそんな日たくさんあります。特に疲れていると自分中心になってしまいます…

今回の報告がみなさんのいろいろなことの選択につながればいいなと思っています。

Column:Half Earth~「アリのおじいさん」からの提案~

Half Earth、「地球の半分」は、アメリカの生物学者E.O.ウィルソン博士が2016年の著書 “Half-Earth:Our Planet’s Fight for Life”(地球の半分-地球の生命のための地球の闘い [スタッフ訳])にある提案です。ウィルソン博士はアリの社会についての体系的な研究をまとめ「社会生物学」という分野を切り開いた世界的に著名な生物学者。Half Earthは、自然と生物多様性を守るために地球の半分を保護区にするという提案です。最近ではアメリカ政府がこれを参考に2030年までに30%という目標を掲げたことで再度注目を集めました。と、このように書くと規模が大きく何だか縁遠い話のように感じますが、つまり地球を人間だけのものとして使わない、ということ。例えば「ノラ猫は迷惑です」といった考え方とどう向き合うか、という身近な問題にもつながっています。

僕は今まで、地球、動物の現在の暮らしについて考えていませんでした。

昨年、コロナが流行し始めた頃にSNSで環境についてなんとなく知り、興味を持ち本を読み始めました。そして地球にやさしい商品を色々と買い漁り、モノを買うことでその選択の意味を探していましたし、単純に「かっこいいから」という気持ちでスタートしました。今でもかっこいいと思っていますし、そんな自分が好きです。でもこのような選択を継続していくうちに、美しさの裏側に目を向けるよくになりました。無意識のうちに、自分の都合の良くないことは見ないフリをしていたんだと今では思います。これに関してはたくさんあるなぁ…と。

一つ大きなきっかけとなったのは、第2回目のセミナーをきっかけに、動物たちの扱い方、衛生環境の実態を知ったことです。

動物が好きな僕にとっては悲しさもありましたが、今では知って良かったと思います。

なのでこのブログを読んでいるみなさんとは、きっかけは少し異なっているかもしれません。僕の経験からお話できることは「行動し続けること」で本質的な魅力に気付くということです。この行動については、本を読む、動画を見る、セミナーに参加する、その現場で実際に活動している方の話を聞く、SNSで自分の考えを発信していくなどです。方法はたくさんありますが、大切なのは自分の負担の無い範囲で続けることです。

新型コロナウイルスについて自然保護の視点から思うこと:地球の生きものとの共存が私たちを救う|More Than Us

新型コロナウイルスについて自然保護の視点から思うこと:地球の生きものとの共存が私たちを救う|More Than Us

前回のCEOステートメントから約1か月経ちました。

今は人によって向き合い方が様々ですね。「アフターコロナ」という言葉も目にするようになりました。未来がなかなか見えない今、不安やストレスを感じられている方もいらっしゃると思います。今日は、どんな未来が描けるかについて、自然保護に関わってきた者として、そしてパフィーズの共同代表として、私の感じていることを皆さんと共有したいと思います。少し長いですが、読んでいただければ幸いです。

まず、新型コロナウイルスで亡くなられた方、感染症状が重かった方には、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。また、医療関係者をはじめ私たちの生活を支えてくださる方々に心から感謝の意を表したいと思います。

地球の生きものと新型コロナウイルス
自然保護に携わり人間と他の生き物の関係について研究してきた者として思うことは、マイクと同じく私も驚かなかったな、ということです。こうして文章を書いている今も、地球の生きものは急速に消えていっています。それだけでも、新型コロナウイルスのようなことが起こるのは仕方がない。私はそう思っています。これについては後からお話します。

これまでが「表面張力」だったのかな、と思います
人間社会のことを先に書きます。消費や開発の文化であふれそうになっていた私たちのグラスの水。そこに新型コロナウイルスの一滴がポトンと落ち、あっという間に水があふれた、そんなイメージです。これまでが、「表面張力」だったのかな、と。グラスを地球とすると、その容量をすでに超えてしまっていたような気がします。楽観的観測が、表面張力を支えていたのでしょう。

便利な生活で、「深く考える力」が奪われていた?
実際、新型コロナウイルスは、たくさんの皮を剥ぎました。経済、社会の面、つまり人間の問題について。いわゆる社会不安は常にあったのに、便利でスピーディーでエキサイティングに思える生活が、私たち人間だけが本来持っているはずの「深く考える力」を奪っていたかもしれません。インターネットやSNSの普及で、さらに深く考えることをやめた人が多いと言われています。

きれいな空と空気を犠牲にしても本当に欲しかったもの?
例えば、経済活動が縮小して世界のいろんなところできれいになった空。私たちがこれまで得たものは、きれいな空と空気、生活の基盤を支える労働者の健康を犠牲にしても本当に欲しかったものなのでしょうか?

なぜ「経済は成長しつづけなければならない」という前提なのでしょうか。GDPは、企業の収益は、下がってはいけないものなのでしょうか。どんな犠牲を払っても?利益は一部富豪や権力者に集中し、しわ寄せはいつも弱い人たちにやってきます。それは、社会が安定しないということなのです。もちろんこれは政治経済の制度の問題です。それでも、市民として消費者として何を求めるかを考えることが必要です。

私がとても悲しく思った数字があります
そうして未曾有の「経済発展」をしてきた私たちが犠牲にしたものが、やっと今、明らかになりつつあります。私たちが忙しく仕事をしたり旅行をしたり、買い物をしたり買ったものをゴミにだしたりしている間に、地球から生きものが消えていっていました。

私がとても悲しく思った数字があります。地球上に存在するほ乳類の96%は、人類(36%)と家畜(60%)になり、野生のほ乳類はたったの4%になってしまったという数字です。(英ガーディアン紙) ほとんどの方は野生動物のドキュメンタリーを見たことがあると思いますが、トラもサイもゴリラやオラウータンも、そして今ではライオンやキリンも、この地球から消えていっているのです。

画像出典:英ガーディアン紙

人間は本当に、他のほ乳類を消滅させても孤独を感じないでしょうか?私自身は、そんな世界には住みたくありません。人間と家畜しかいない、すべての場所から野生が消えた世界は、なんだかとても恐ろしい世界のように、私には感じられます。それに、本来どんな生物も、その生態系を維持管理する役割を担っている大切な種です。人間にとって不都合でも、です。

人間が利用するためだけではない、彼らの住処としての自然を回復することが私たちの急務です。きれいな空気や水、豊富な食べ物、自由に移動し繁殖できる空間。今私たちが必要としているものに似ているのは、同じ生きものとしては当然です。

ミニコラム

「人新世」という言葉を、みなさんは聞かれたことがあるでしょうか?もとは地質学的な表現で、後世の人たちが地層を見た時、今の時代は人間の影響が非常に大きいということが特定できるということなのです。実際、陸の75%、海の66%は人類が大きく姿を変えたと言われています。そして極端な人新世派は、地球には人類と家畜以外の生き物は必要ないとしています。人類が地球上に占める生き物としての割合は、0.01%です。地球上で一番多い生物は植物(82%)、微生物が13%、そして残り5%に人間を含むその他の生物が入ります。

他にも生きもの絶滅の影響が出るでしょう
野生の生き物たちはどんどん地球からいなくなり、ウイルスは新しい宿主を探す。そして人間という恰好の宿主が野生動物の住処に森を切り開いて飛び込んできたのです。この状況を、「ヒューマン・ミート・マーケット(人間の肉市場)」という言葉で表現した自然保護家がいます。(Global Wildlife Conservation)

これは残念ながらまた起こるでしょうし、生きものの絶滅や生態系の破壊によって他にも想像していなかった影響が出るだろうと多くの専門家は心配しています。

きれいに暮らしていたつもり
コロナ以前から、人類は虫や「ばい菌」を排除してきれいに暮らしていたつもりでした。ところが自然界の法則の外で暮らすことが人間を病気に対してとても弱くしてしまっています。これはある程度ワンちゃん・ネコちゃんにもあてはまり、パフィーズの悩みどころですし、みなさんも悩まれていることです。

私たちは生きものとして本当は何が必要で何を大切にしたいのか。考える作業は苦痛かもしれません。でも、それをしないなら、絆創膏だけ貼って膿を取り出さないのと同じことになってしまいます。

恋しくても、もとには戻れないと覚悟する必要があるかもしれません
今は誰しもが、以前の自由な生活が恋しい面があると思います。でも私たちは、もとには戻らない・戻れないかもしれない、そう覚悟する必要があるかもしれません。2022年くらいまでは途中の小康状態を挟んで今の状態が続くと予想されていますが、別の感染症が発生する可能性はとても高いのです。

残念ですが、ものごとは急に良くならないでしょうし、地球の回復なしに来る「好景気」は一時的でしかありません。そしてそもそも「好景気」は、私たちに充足感を与えてくれたでしょうか?今にも溢れ出しそうな問題を抱えた「表面張力」に戻るのではなく、途中つらくても、もっと地に足のついた道は考えられないでしょうか?

楽しい未来を描けるはず
楽しい未来を描くことだってできると私は思っています。例えばアフター・コロナの「グリーン・リカバリー」として、メキシコシティやパリなど道路を大幅に自転車専用に指定している都市、アムステルダムのように全く新しい考えの経済理論を導入する都市が出てきました。そこには、ペットと暮らしやすい要素だって入っているかもしれません。

黙ってそばにいてくれる素晴らしい友だち
マイクのステートメントにあった通り、生きものとしての幸せは、本来もっと原始的です。先が見えない今でも、毎日の生活に小さくても充足感を得られる楽しみや喜びを見つけることはできます。そこから大きな問題の解決策が見えてくる、そんな期待を私はしています。本当に幸運なことに、私たちには、黙ってそばにいてくれる犬や猫という素晴らしい友だちがいます。新型コロナウイルスも暗いニュースも関知せず、私たちと生きものとして向き合ってくれる、多くの方が言う通りのピュアな存在です。

野生と人間社会の間にいる犬や猫
なぜ人が犬や猫と暮らしたがるのか。実はいろいろな研究や説があります。一つ、私が共感する考え方を紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。

犬や猫は、完全な野生と、完全な人的環境の間にいます。彼らは人間の生活スタイルに合わせることができ、しぐさや言葉を理解し応じる能力を発達させました。一方で、人間が失った生きものとしての能力を思い起こさせる時があります。野生動物との間に人間には入り込めない相互察知と認識があるようで、生きものの世界の神秘を垣間見せられる時があります。

孤独な人類を自然界への復帰に案内してくれる
地球上で孤独になりつつある人類は、そのことを無意識に不安に感じている、そんな説もあります。その人類を自然界につないでくれる存在。その意味では犬や猫は人間にとって赤ちゃん扱いする対象というより、時に私たちを自然界への復帰に導く案内役である、私はそう思います。もちろん、お世話は必要です(笑)。

実際、犬に新型コロナウイルスを探知してもらうため英政府が訓練の費用を拠出しました。素晴らしい能力です。自然のメカニズムが科学的に解明されてくるのはずっと後ですが、犬や猫はまだそのメカニズムの中にいるのかもしれません。パフィーズでオーガニックやホールフードにこだわる理由もここにあります。

犬や猫の運命も、私たち人間次第
犬や猫と暮らすのが贅沢になり難しくなる、そんな未来も否定できません。私はそれがとても心配です。だからそうならないよう、今は人間がどんな未来を描くのか、地球と共存できるのか、を深く考えることが大切だと思うのです。犬や猫の運命も、私たち人間次第です。

そして、私たち人間と運命を共にしてくれる彼らに、してあげられることはできるだけしてあげたい。その時間が短かすぎることは本当に残念ですが、コロナは思わぬ時間を私たちにくれたと思いませんか?彼らから、生きものとしての歓びとは何なのかを学ぶ。そして私たちが彼らの半野生の生きものとしてのニーズに本当に応えられているかを考える。 身体は自然の一部で、自然は身体の延長。だから自然のサイクルを担う地球の生きものとの共存が私たちみんなを救う道なのだろうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

文中の参考リンク
The Guardian, ” Humans just 0.01% of all life but have destroyed 83% of wild mammals – study” (https://www.theguardian.com/environment/2018/may/21/human-race-just-001-of-all-life-but-has-destroyed-over-80-of-wild-mammals-study)
Global Wildlife Conservation, “Coronaviruses and the Human Meat Market” (https://www.globalwildlife.org/blog/coronaviruses-and-the-human-meat-market/?fbclid=IwAR2fVSYKo68FpO4c6Jzq7N1xq19X1u2HSG-Y8cj4mTUUfR5hFiG173KUYX8)