More Than Usセミナーレポート「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」

More Than Usセミナーレポート「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」

2022年7月28日 More Than Usチャリティセミナー「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~ 家畜のアニマルウェルフェアってなあに?」を開催しました。

このセミナーでは、私たちと暮らすコンパニオンアニマル、特に犬との生活において、近年とくに課題として注目を集めている「肉食」について、環境負荷・家畜のアニマルウェルフェアの二つの視点から皆さんと考えてみました。同時に、日々の生活の中で楽しく喜びを見つけながらこういった課題に取り組むヒント、さらに課題に取り組むうえで直面する悩みについて、実際の例を交えつつ紹介をしました。More Than UsのYouTubeチャンネルでぜひご覧ください!

https://youtu.be/nj-xImITdfI

セミナーのポイント

犬には本当に「オオカミのような食事」がいいのか?

BARFダイエット(Biologically Appropriate Raw Food:生物学的に適切な生の食事)は、食事の80-90%が生肉を占めるお肉中心の食生活です。日本でも愛犬の食事として実践している人の多いBARFダイエットですが、「そんなにたくさんお肉をあげても大丈夫なの?」という疑問も良く聞かれます。

犬と狼は「生物学的に」同じか?

犬は人間と暮らす中で、狼と異なる遺伝子を進化させ、より人間との関係を強化する遺伝子を持つようになりました。犬と狼は生物学的に見ても、大きく異なる生きものです。このセミナーのトピックにも関連する重要な違いは、犬にはデンプンの消化・代謝に必要な遺伝子を備えており、狼のような食事以外にも適応できる、ということです。最近特に欧米では犬のヴィーガン食が注目を集めており、今年(2022年)にイギリスでは、ヴィーガン食が(栄養のバランスが摂れていれば)犬の健康にとってベターであるという研究結果も発表されています。

Pawprint~犬一頭はSUV4台分?~

犬の食生活をめぐる近年の変化の理由の一つは、犬との暮らしが環境に与える負荷が課題として認識されるようになったことにあります。「犬一頭はSUB4台分」というのは、2009年の研究による数字ですが、犬(や猫)が環境に与える負荷(特に、どれだけのCO2を排出しているか=フットプリント)は、私たちが思っているよりも実は多いです。

お肉をめぐる二つの負荷

環境負荷:家畜のための飼料の栽培・加工や運搬などの現場からはCO2が排出されます。さらに、飼料となる大豆の栽培や畜牛に必要な土地のために伐採されるアマゾンなどの森林減少が、現在深刻な問題となっています。

家畜にかかる負荷:現在全世界の農地の80%以上が家畜用に使用されています。今後はさらに肉への需要が高まり、限られたスペースでより「密」に家畜を飼育するスタイルの畜産(工場畜産)が増えてしまうだろうと言われています。

家畜のアニマルウェルフェア

アニマルウェルフェアとは、以下の5つの自由が動物にとって確保されているか、ということを意味します。

「どうせ食べるのだから」という意見もあり、反対に「家畜の幸せのために」と完全なヴィーガンスタイルを選択するという意見もあります。「たとえ最終的にはお肉になるとしても、家畜は生きものであり、痛み・苦しみ・恐れを感じることを理解し、生まれた時から完全に人間の管理下にある彼らの扱いに対する人間の責任を考える」ということが家畜のアニマルウェルフェアだとMore Than Usでは考えています。

犬や猫との楽しいエシカル ~ アーチャーくん ~

実際に愛犬と楽しくエシカルを実践されているアーチャー君のお話を紹介させていただきました。アーチャー君に寄稿いただいた記事は、こちらで全文をご覧いただけます:
愛犬との暮らしから考えるサステナブルなライフスタイル ~ 犬と暮らすからこそ見えてくること ~

悩んでいい。ヴィーガン・ベジタリアンスタイル

アニマルウェルフェアやヴィーガン・ベジタリアンに向き合うことで生まれる悩みについて、More Than Usのメンバーが率直に語ってくれた記事を紹介しました。全文はこちらでご覧いただけます:
食べれる肉・食べれない肉 ~ 食べるという選択とジレンマ ~

ともに生きるには?黒か白かではなく、できるだけ白に近い選択を

Mariの記事でも紹介したように、ギルトフリーの食べ物はいまありません。そんな中大事なのは、白か黒かではなく、できるだけ白に近い選択を極力ストレスを感じずに継続していくことだと思います。上で紹介したアニマルウェルフェアを意識し、いつもはできなくても、時々やってみることが大切です。

More Than Usチャリティセミナーのご案内:「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」を考える

More Than Usチャリティセミナーのご案内:「Pawprint ~エシカルに動物と暮らすには~」を考える

セミナー内容

暑くなる一方の私たちの夏。犬や猫も暑くて動けない日が多くなりましたね。その一方でお留守番などでクーラーも欠かせなくなりました。犬や猫と暮らすことは、当然、地球へのフットプリントが増えるということ。フットプリント(footprint)は「足跡」という意味。つまり、私たちが生活する中で直接的・非直接的に環境に与えてしまうマイナスな影響(具体的には温室効果ガスの排出量)のことをここでは指します。でも、犬や猫は人間の家族と同じように大切な存在です。

このセミナーでは、飼い主と犬猫のフットプリントを楽しみながら減らす方法について紹介します。またセミナーで紹介するペットのフットプリントの基本を知っておけば、あとは自分でも工夫できます。今流行りのヴィーガンスタイルを中心に、レシピやグッズも伝授します。そして、同じ動物で家畜のウェルフェア(幸せ)についても紹介し、私たちはそのことをどう捉えて実践していけるか、なども紹介します。

実は家畜(お肉や皮製品)については、減り続ける森林を守るという視点からもヨーロッパを中心に変化が起きつつあります。コーヒーやチョコレートといった身近な食べ物も同じです。ギルトフリー(罪がない)食べ物の少なくなっている今、犬や猫と楽しく食生活を送るため、一緒にできることから始めてみましょう。

セミナー情報

主催:More Than Us
協賛:パフィーズナチュラルライフ
日時:2022年7月28日(木)午後2時半~午後3時半(1時間)
形式:オンライン(Zoom)
講師:パック まり(More Than Us Founder パフィーズナチュラルライフ共同代表)、その他
※講師は都合により変更の場合があります
詳細:以下のセミナー内容をご覧ください
お申込み方法:こちらのリンクからお申し込みフォームをご送付ください

 

お申し込み方法

以下のリンクからお申し込みフォームを送信してください。受領後、info@puffyslife.comよりZoomリンクを送付いたします。
お申込みフォーム:https://forms.gle/wqyt6wCgvq1fMCxh7

森林火災と私達~買物かごの中ちょっと見直してみませんか?~|More than us

森林火災と私達~買物かごの中ちょっと見直してみませんか?~|More than us

2019~2020年にかけて発生したオーストラリアの森林火災は世界中で大きな注目を集め、日本でも森林火災・山火事という災害が広く認識されるきっかけとなりました。実は、2020年にはロシアのシベリア、アメリカのカリフォルニアでも大規模な森林火災が起き、甚大な被害が出ました。日本ではあまり馴染みのない災害ですが、森林火災は今後2030年までに現在の3倍に増加するだろうと言われています(The Guardian)なぜこのようなことになったのでしょうか。

森林が失われることの本当の意味

森林火災の増加・規模の拡大の原因は、「人為的要因」による気温の上昇であるという報告が数多く出ています。火災によって人の生活・社会、自然に甚大な被害が出ることはもちろん脅威です。ですが、森林火災が真に恐ろしいのは、火災によって地球の肺であり気温や気候を調整してくれる非常に大切な役割を担った森林が減ってしまうということです。森林が失われると、負のスパイラルが始まってしまいます。

オーストラリアの火災の際に各メディアで報道された、コアラやカンガルーの痛ましい姿が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。オーストラリアのコアラやカンガルーに限らず、「森林」と私たちが呼んでいる場所は生き物の住処です。森林に暮らす彼らの生死は、森林が健康であるかどうかにかかっています。火災が起こっているのはオーストラリアだけではありません。記事の冒頭ではオーストラリアの他に、シベリア、カリフォルニアの例をあげましたが、実はブラジルやインドネシアでも毎年大規模な森林火災が起きており、多くの生き物が焼け出されています。特にブラジルやインドネシアのような熱帯地域の森林は、世界で最も生物多様性が豊かな森林でもあります。

森林火災が起こる原因

森林火災の原因は一つには絞れませんが、気温上昇と空気の乾燥による自然発生的なものから、森林を農地にするための人為的なものまで様々です。また、深い森の端が開発のために伐採されると、そこに人が入り、火災が起きやすくもなります。伐採されて劣化した森林は、世界各地で次々と農地に変えられていっており、1分ごとにサッカー場15個分の森林が消えているという報告もあります(Climate Disclosure Project)。オーストラリアやタスマニアの場合には紙やパルプ、バイオマスの原料となるユーカリやアカシアなどの植林、インドネシアではパームの植林、ブラジルでは家畜の飼料である大豆栽培や牛の放牧。そして人口が爆発的に増える今、この風景は広がり続けるばかりです。

私達ができること:買物かごを見直すこと

気候危機をどう回避できるか。これはかなり大きな課題で、残念ながら一人の力では達成することはできません。ですが、私たち一人一人にも、しかも毎日できることがあります。それは、自分が購入する日用品や食べ物の見直しです。

インスタント食品やスナック菓子などを控える

これらの食品には、上でも触れたヤシ(パーム)の実から作られるパーム油が使われています。(参考:WWF Japan

ティッシュなどの紙製品は認証品を探す

認証品にはパッケージにFSCPEFCなどのマークが入っています。FSC・PEFCはどちらも、その製品が適正に管理された森林の木材から作られていることを示す国際的な認証制度です。

肉食を控える

食肉、特に牛肉の生産には膨大な環境負荷がかかると言われています。地球温暖化問題などの気候機器の対応策の一つとして、肉食を減らそうという動きは実は欧米ではかなりスタンダードになってきています。頭文字を揃えた「Meatless Monday(お肉を控える月曜日)」、「Meat-Free Monday(お肉なしの月曜日)」といったフレーズを目にしたことがある人もいるかもしれませんが、「週一回お野菜レシピにチャレンジしてみる日」「この日はファスティングをする日!」のように、楽しんで習慣化できたらいいですね。

ゆるやかなアプローチ

個人で行うどのような取り組みも、極端な選択肢を取ってしまうと苦痛やストレスになってしまいかねません。個人が置かれた環境や生活のあり方によっては、「これが本来は一番いいんだろうな」と思われる選択肢をとることが出来ない場合もあるでしょう。「〇〇は絶対ダメ」「〇〇は絶対買わない・食べない」ではなく、「控える」というゆるやかなアプローチで、まずは一緒に買い物かごをちょっと見直してみませんか?

2021年3月公開のMariのコラムに加筆・編集 – Mina

新型コロナウイルスについて自然保護の視点から思うこと:地球の生きものとの共存が私たちを救う|More Than Us

新型コロナウイルスについて自然保護の視点から思うこと:地球の生きものとの共存が私たちを救う|More Than Us

前回のCEOステートメントから約1か月経ちました。

今は人によって向き合い方が様々ですね。「アフターコロナ」という言葉も目にするようになりました。未来がなかなか見えない今、不安やストレスを感じられている方もいらっしゃると思います。今日は、どんな未来が描けるかについて、自然保護に関わってきた者として、そしてパフィーズの共同代表として、私の感じていることを皆さんと共有したいと思います。少し長いですが、読んでいただければ幸いです。

まず、新型コロナウイルスで亡くなられた方、感染症状が重かった方には、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。また、医療関係者をはじめ私たちの生活を支えてくださる方々に心から感謝の意を表したいと思います。

地球の生きものと新型コロナウイルス
自然保護に携わり人間と他の生き物の関係について研究してきた者として思うことは、マイクと同じく私も驚かなかったな、ということです。こうして文章を書いている今も、地球の生きものは急速に消えていっています。それだけでも、新型コロナウイルスのようなことが起こるのは仕方がない。私はそう思っています。これについては後からお話します。

これまでが「表面張力」だったのかな、と思います
人間社会のことを先に書きます。消費や開発の文化であふれそうになっていた私たちのグラスの水。そこに新型コロナウイルスの一滴がポトンと落ち、あっという間に水があふれた、そんなイメージです。これまでが、「表面張力」だったのかな、と。グラスを地球とすると、その容量をすでに超えてしまっていたような気がします。楽観的観測が、表面張力を支えていたのでしょう。

便利な生活で、「深く考える力」が奪われていた?
実際、新型コロナウイルスは、たくさんの皮を剥ぎました。経済、社会の面、つまり人間の問題について。いわゆる社会不安は常にあったのに、便利でスピーディーでエキサイティングに思える生活が、私たち人間だけが本来持っているはずの「深く考える力」を奪っていたかもしれません。インターネットやSNSの普及で、さらに深く考えることをやめた人が多いと言われています。

きれいな空と空気を犠牲にしても本当に欲しかったもの?
例えば、経済活動が縮小して世界のいろんなところできれいになった空。私たちがこれまで得たものは、きれいな空と空気、生活の基盤を支える労働者の健康を犠牲にしても本当に欲しかったものなのでしょうか?

なぜ「経済は成長しつづけなければならない」という前提なのでしょうか。GDPは、企業の収益は、下がってはいけないものなのでしょうか。どんな犠牲を払っても?利益は一部富豪や権力者に集中し、しわ寄せはいつも弱い人たちにやってきます。それは、社会が安定しないということなのです。もちろんこれは政治経済の制度の問題です。それでも、市民として消費者として何を求めるかを考えることが必要です。

私がとても悲しく思った数字があります
そうして未曾有の「経済発展」をしてきた私たちが犠牲にしたものが、やっと今、明らかになりつつあります。私たちが忙しく仕事をしたり旅行をしたり、買い物をしたり買ったものをゴミにだしたりしている間に、地球から生きものが消えていっていました。

私がとても悲しく思った数字があります。地球上に存在するほ乳類の96%は、人類(36%)と家畜(60%)になり、野生のほ乳類はたったの4%になってしまったという数字です。(英ガーディアン紙) ほとんどの方は野生動物のドキュメンタリーを見たことがあると思いますが、トラもサイもゴリラやオラウータンも、そして今ではライオンやキリンも、この地球から消えていっているのです。

画像出典:英ガーディアン紙

人間は本当に、他のほ乳類を消滅させても孤独を感じないでしょうか?私自身は、そんな世界には住みたくありません。人間と家畜しかいない、すべての場所から野生が消えた世界は、なんだかとても恐ろしい世界のように、私には感じられます。それに、本来どんな生物も、その生態系を維持管理する役割を担っている大切な種です。人間にとって不都合でも、です。

人間が利用するためだけではない、彼らの住処としての自然を回復することが私たちの急務です。きれいな空気や水、豊富な食べ物、自由に移動し繁殖できる空間。今私たちが必要としているものに似ているのは、同じ生きものとしては当然です。

ミニコラム

「人新世」という言葉を、みなさんは聞かれたことがあるでしょうか?もとは地質学的な表現で、後世の人たちが地層を見た時、今の時代は人間の影響が非常に大きいということが特定できるということなのです。実際、陸の75%、海の66%は人類が大きく姿を変えたと言われています。そして極端な人新世派は、地球には人類と家畜以外の生き物は必要ないとしています。人類が地球上に占める生き物としての割合は、0.01%です。地球上で一番多い生物は植物(82%)、微生物が13%、そして残り5%に人間を含むその他の生物が入ります。

他にも生きもの絶滅の影響が出るでしょう
野生の生き物たちはどんどん地球からいなくなり、ウイルスは新しい宿主を探す。そして人間という恰好の宿主が野生動物の住処に森を切り開いて飛び込んできたのです。この状況を、「ヒューマン・ミート・マーケット(人間の肉市場)」という言葉で表現した自然保護家がいます。(Global Wildlife Conservation)

これは残念ながらまた起こるでしょうし、生きものの絶滅や生態系の破壊によって他にも想像していなかった影響が出るだろうと多くの専門家は心配しています。

きれいに暮らしていたつもり
コロナ以前から、人類は虫や「ばい菌」を排除してきれいに暮らしていたつもりでした。ところが自然界の法則の外で暮らすことが人間を病気に対してとても弱くしてしまっています。これはある程度ワンちゃん・ネコちゃんにもあてはまり、パフィーズの悩みどころですし、みなさんも悩まれていることです。

私たちは生きものとして本当は何が必要で何を大切にしたいのか。考える作業は苦痛かもしれません。でも、それをしないなら、絆創膏だけ貼って膿を取り出さないのと同じことになってしまいます。

恋しくても、もとには戻れないと覚悟する必要があるかもしれません
今は誰しもが、以前の自由な生活が恋しい面があると思います。でも私たちは、もとには戻らない・戻れないかもしれない、そう覚悟する必要があるかもしれません。2022年くらいまでは途中の小康状態を挟んで今の状態が続くと予想されていますが、別の感染症が発生する可能性はとても高いのです。

残念ですが、ものごとは急に良くならないでしょうし、地球の回復なしに来る「好景気」は一時的でしかありません。そしてそもそも「好景気」は、私たちに充足感を与えてくれたでしょうか?今にも溢れ出しそうな問題を抱えた「表面張力」に戻るのではなく、途中つらくても、もっと地に足のついた道は考えられないでしょうか?

楽しい未来を描けるはず
楽しい未来を描くことだってできると私は思っています。例えばアフター・コロナの「グリーン・リカバリー」として、メキシコシティやパリなど道路を大幅に自転車専用に指定している都市、アムステルダムのように全く新しい考えの経済理論を導入する都市が出てきました。そこには、ペットと暮らしやすい要素だって入っているかもしれません。

黙ってそばにいてくれる素晴らしい友だち
マイクのステートメントにあった通り、生きものとしての幸せは、本来もっと原始的です。先が見えない今でも、毎日の生活に小さくても充足感を得られる楽しみや喜びを見つけることはできます。そこから大きな問題の解決策が見えてくる、そんな期待を私はしています。本当に幸運なことに、私たちには、黙ってそばにいてくれる犬や猫という素晴らしい友だちがいます。新型コロナウイルスも暗いニュースも関知せず、私たちと生きものとして向き合ってくれる、多くの方が言う通りのピュアな存在です。

野生と人間社会の間にいる犬や猫
なぜ人が犬や猫と暮らしたがるのか。実はいろいろな研究や説があります。一つ、私が共感する考え方を紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。

犬や猫は、完全な野生と、完全な人的環境の間にいます。彼らは人間の生活スタイルに合わせることができ、しぐさや言葉を理解し応じる能力を発達させました。一方で、人間が失った生きものとしての能力を思い起こさせる時があります。野生動物との間に人間には入り込めない相互察知と認識があるようで、生きものの世界の神秘を垣間見せられる時があります。

孤独な人類を自然界への復帰に案内してくれる
地球上で孤独になりつつある人類は、そのことを無意識に不安に感じている、そんな説もあります。その人類を自然界につないでくれる存在。その意味では犬や猫は人間にとって赤ちゃん扱いする対象というより、時に私たちを自然界への復帰に導く案内役である、私はそう思います。もちろん、お世話は必要です(笑)。

実際、犬に新型コロナウイルスを探知してもらうため英政府が訓練の費用を拠出しました。素晴らしい能力です。自然のメカニズムが科学的に解明されてくるのはずっと後ですが、犬や猫はまだそのメカニズムの中にいるのかもしれません。パフィーズでオーガニックやホールフードにこだわる理由もここにあります。

犬や猫の運命も、私たち人間次第
犬や猫と暮らすのが贅沢になり難しくなる、そんな未来も否定できません。私はそれがとても心配です。だからそうならないよう、今は人間がどんな未来を描くのか、地球と共存できるのか、を深く考えることが大切だと思うのです。犬や猫の運命も、私たち人間次第です。

そして、私たち人間と運命を共にしてくれる彼らに、してあげられることはできるだけしてあげたい。その時間が短かすぎることは本当に残念ですが、コロナは思わぬ時間を私たちにくれたと思いませんか?彼らから、生きものとしての歓びとは何なのかを学ぶ。そして私たちが彼らの半野生の生きものとしてのニーズに本当に応えられているかを考える。 身体は自然の一部で、自然は身体の延長。だから自然のサイクルを担う地球の生きものとの共存が私たちみんなを救う道なのだろうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

文中の参考リンク
The Guardian, ” Humans just 0.01% of all life but have destroyed 83% of wild mammals – study” (https://www.theguardian.com/environment/2018/may/21/human-race-just-001-of-all-life-but-has-destroyed-over-80-of-wild-mammals-study)
Global Wildlife Conservation, “Coronaviruses and the Human Meat Market” (https://www.globalwildlife.org/blog/coronaviruses-and-the-human-meat-market/?fbclid=IwAR2fVSYKo68FpO4c6Jzq7N1xq19X1u2HSG-Y8cj4mTUUfR5hFiG173KUYX8)

新型コロナウイルスについて科学の視点から思うこと:私たちの命は生物学|More Than Us

新型コロナウイルスについて科学の視点から思うこと:私たちの命は生物学|More Than Us

みなさん、こんにちは。パフィーズナチュラルライフのCEO、マイクです。いつも私たちのサプリをご愛用いただき、ありがとうございます。

新型コロナウイルスの思いがけない広がりに、不安や戸惑いを感じていらっしゃる方も多いかもしれません。そこで、今日はパフィーズの代表として、また分子生物学と生物化学の分野に研究者として関わってきた者として、私が今感じていることをお伝えしたいと思います。少し長いですが、読んでいただければ光栄です。

私は驚いてはいません
まず、亡くなられた方や病気の症状に苦しんだ方がいることは胸の痛むことで、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。

ただ、今回のウイルスの蔓延や世界中での感染者の「爆発的な」増加自体に、私は驚いてはいません。科学に親しんできた人は皆そうだと思います。それについて皆さんにお話したいと思います。

私たちのDNAの8%はウイルスのDNAです
ウイルスは人類の歴史が始まって以来、ずっとその一部であり続けています。私たちのDNAの8%が先祖から受け継いできたウイルスのDNAだと言われています。私たちの祖先も、ウイルスと闘いそして生き残ってきたのです。

DNAの8%がウイルスのものだからといって、例えば新型コロナウイルスが私たちのDNAを変えてしまうわけではありません。新型コロナウイルスは、卵子や精子に影響を与える特定のタイプのウイルスとは異なるグループに属しているからです (注)。わかりやすく言えば、8%という数字には「私たち人類や動物の祖先はウイルスと長いこと共存してきた」ということが単純に表されているのです。
注:専門用語で「内在性レトロウイルス」と呼ばれます。

~ミニコラム:ウイルスのDNA~
ウイルスはそのDNAを私たちの細胞の中に挿入し、細胞がさらにウイルスを製造するように仕向けます。このウイルスのDNAは私たちの細胞に残ることがあり、次の世代に受け継がれることもあります。人類の歴史上、何度もそれが繰り返された結果、ウイルスのDNAは私たちの一部となりました。

これまで人類は運がよかったのです
私のように科学の分野で研究をしている人は、これまで人類は運がよかったことを知っています。なぜなら、近代になって人類が遭遇したウイルスは、エボラやSARSのように致死率が高くても感染力が低いか感染スピードが遅いものか、今回の新型コロナウイルスのように感染力は非常に強いが致死率は比較的低いもの、であったからです。

つまり、致死率が非常に高くて感染力も非常に強いウイルスには、まだ本格的には遭遇していないのです。しかし、だからといってそのようなウイルスが出現しないという確証はありません。

科学者の予言が的中しました
科学の分野にいる人は、新型コロナウイルスのようなウイルスがいずれ深刻な状況を引き起こすだろうと知っていました。例えば、去年出版された論文には、次のように書かれています。

将来のSARS または MERS (中東呼吸器症候群コロナウイルス)のようなコロナウイルスの発生が、コウモリから始まる可能性は非常に高い。さらにそれが中国を発生地とする可能性も高くなっている。

US National Library of Medicine, National Institutes of Health

この論文の著者は、中国・武漢大学の研究者たちでした!

グローバル経済がウイルスを頻繁に蔓延させるのです
これは、多くの人が自由に世界中を旅行していることと、特に私たちのような経済の発展した国が世界の他の地域から安い商品を買えることの代償です。グローバルな世界は、素敵なことです。異なる国の人々が商品やサービスを提供するために協力するのは、ワクワクすることでもあります。ただし、私たちはその代償にも気づかなくてはなりません。

今回のことはその一つです。そして私たちは本当はそれに驚くべきではないのです。新型コロナウイルスが例のないスピードで広まったのは、世界中の人たちが皆、物理的な移動をしなくても、経済活動という糸でつながっているからです。海外からオーガニック素材を購入しているパフィーズにとっても非常に重要な問題ですが、今は私の話の続きを聞いてください。

残念ながら、この現象はまた起きます
新型コロナウイルスが攻撃する細胞は、ほ乳類には比較的共通した細胞です。ですから、他の動物に感染する可能性があります。パフィーズでも猫への感染についてすでに書きましたが、今のところは犬や猫というペットに関しては心配する必要はありません。しかし、将来的にはまだはっきりしたことは分かりません。

ウイルスにとって種を超えて感染させることは、本来ものすごく難しいことです。それなのに今回見ていると、何種もの生物を超えた感染が起きています。種を超えた感染が起きると、それだけ感染拡大の範囲も増えますし、ウイルスが変異する可能性も高くなります。みなさんを不安にさせるつもりではないのですが、「今の状態よりもっと悪くならないとは決して言えない」ということを知っておくことが、今はとても大切です。

「中国のせい」じゃないと思います
現在、日本を含め多くの国が、「中国のせいだ」と言います。私の母国、アメリカ合衆国の大統領もそう発言したことを私はとても恥ずかしく残念に思っています。

今回のことは、どこかで起こるべくして起こったことで、特定の国や地域の問題ではありません。強いて言うなら、すでに述べた通り、海外の安い商品を享受している私たちみんなに責任があるのです。

そして、コウモリが悪いわけじゃありません
そして、感染源としてのコウモリの駆除が起こっていますが、これも間違いです。コウモリには1,000以上の種類があり、それぞれに多少生態は異なりますが、全般に非常に多くのウイルスを保持し共存しています。今回の新型コロナウイルスも、例えばSARS と同様にコウモリから別の動物に感染し(センザンコウ、ヘビ、あるいはブタなどの家畜?)、そこから人間に感染したと考えられています。つまり、どんな動物からも発生する可能性があったということです。

~ミニコラム:中国、コウモリ、そして私たち消費国の生活~
アジアやアフリカで野生生物の市場が大きくなったのは、もともとは伝統的な農業などに従事していた人が、土地や仕事を追われ、生活のために始めたことが大きな原因です。そして土地や仕事を追われる理由は、経済の豊かな国からの大規模な投資や事業です。一つの例として、野生生物の生息地に近いところで工場畜産(大規模な畜産)が始まると、異なる種を超えて感染がおこりやすくなり、畜産に従事する人や食肉を扱う人への感染が起こります。ブラジルでは森林破壊の70%は放牧産業が原因です。東南アジアでは森林破壊はパーム植林が圧倒的な原因です。パーム油はスナック菓子からシャンプーまで、私たちの日常のあらゆるものに使われています。

Nellemann, C., INTERPOL Environmental Crime Programme (eds). (2012) Green Carbon, Black Trade: Illegal Logging, Tax Fraud and Laundering in the Worlds Tropical Forests. United Nations Environment Programme, p. 34.

私たちの命は生物学です
私たちは、この経験から学ばなくてはなりません。これまで(私の国の大統領を含め!)多くの人が科学者の警告を無視してきました。今、それが変わりつつあります。例えば60年代など、宇宙への関心から科学者が非常に注目された時代がありました。日本では科学技術や医学の発展に貢献する科学者がたくさんノーベル賞を受賞しています。

ひとつ、生きていくために大切な分野が見落とされています。それが生物学です。私たちの命は生物学です。人間も、犬も、猫も、他の動物や植物も、細胞からできています。それを学ぶのが生物学です。そして、動植物が環境や外的要因からどんな影響を受けるかの研究でもあります。

生物学の視点では、身体は原始のまま
例えば、食というのは動物にとって本来とても原始的なものです。科学技術やインターネットがどんなに発展しても、私たちの胃も腸も肺も心臓も、人間がこの地球に現れたころからそれほど変わっていません。

私が、自然の食べ物(スーパーフードやハーブ)が生物に最適だと思うのは、これが理由です。食文化は複雑なレシピとともに様々な加工品やインスタント食品を生み出しました。でも身体は生物学の視点では、原始のままなのです。そして私たちの食べ物は、どれももともとは自然界からやってくる。生物学が今後、もっと身近になればいいと思います。

「昨日と違うことを今日聞かされる」ということに憤らない
今必要なことは、専門家の意見を聞くことです。同時に、どんな分野でも科学者がすべてを知っているわけではないと理解することも大切です。専門家は限定的な情報の中でベストを尽くしています。事実は常に流動的なものです。新型コロナウイルスについては、多くのことがまだ解明されていません。ですから昨日は一つのことを聞いていたのに、今日になると違うことを聞くかもしれません。これは発見を繰り返す科学の性質でもあります。それにイライラしないようにすることが大切です。

幸せとは、本来もっと原始的なものかもしれません
よく言われるように、今は試練の時です。家にいて、友人に会うことも猫を外に出すこともできないし、犬を他の犬と遊ばせることもできるだけ控えなくてはなりません。

でも、できないことに注目するより、できることを考えましょう。これまで人類が何をしてきたか、そして私たちのあり方が変わればどんな未来が描けるのか。それを考える時間を与えられたと思ってもいいのではないかと私は考えています。

パフィーズのお客様は、犬や猫との暮らしを本当に楽しんでいると私たちは感じています。そして、ペットと一緒に過ごせる限られた時間を大切にすることは、私たちに何が本当に大切かを教えてくれます。幸せとは、本来もっと原始的なものなのかもしれません。パフィーズでも、改めてそうしたことを考える時間としたいと思っています。

文中の参考リンク
Yi Fang et al. Bat Coronaviruses in China. US National Library of Medicine, National Institutes of Health (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6466186/)