More Than Us過去セミナーより ~ 卵と草原と動物解放:アニマルウェルフェアってなあに? ~

More Than Us過去セミナーより ~ 卵と草原と動物解放:アニマルウェルフェアってなあに? ~

More Than Usでは2020年から2021年にかけて、動物福祉・地球環境問題について包括的にお話しする4回シリーズのセミナーを開催しました。ブログ記事の形でその内容をご紹介します。

「卵と草原と動物解放」と題したシリーズ2回目のセミナーでは、やわらかく「アニマルウェルフェアとは何か?」を考える1時間を目指し、まずはよく知られる「5つの自由」を「うちの子」に当てはめることからスタート。ドッグトレーナーで More Than Us メンバーの Misaki から、犬のストレスへの対処方法として「ストレスにうまく向き合えるようにしてあげる」ことについてお話しました。

そこから、5つの自由を野良猫、動物園や水族館の動物、さらには家畜に当てはめるとどうか?と少し考えていただきました。例えば野生のイルカは種類によっては1000キロ以上にもわたっていること、それを考えるとどんなに広い水族館でも5つの自由の5番目(正常な行動を表現する自由)は確保できないことなどを紹介しました。

そして、もともとアニマルウェルフェアは「人間による動物の支配の歴史」への反動であったことをお話しました。西洋では古代ギリシャ時代の哲学者やユダヤキリスト教の要素を基盤としているとされる、人間優位の歴史です。17世紀には「動物は機械である」とする考えが最高潮に達し、やがてその反発としての現代のアニマルウェルフェアの芽生えに続きます。

写真:18世紀の啓蒙主義の思想家、ジェレミー・ベンサム

問題は、彼らが思考できるか、ということでも、彼らが話せるか、ということでもなくて、彼らは苦しむことができるか、ということである。 

ジェレミー・ベンサム

18世紀には、後に多くのウェルフェア家が引用する上記の有名なセリフを思想家ベンサムが残し、現在の、痛みや苦しみを感じる動物には人間は配慮をすべきというアニマルウェルフェアの考えが生まれています。5つの自由が出てきたのは1960年代のイギリス。これは家畜の扱いについて厳しい批判をしたルース・ハリソンの『アニマル・マシーン』という本がきっかけです。

日本の場合、鶏のほとんどはケージに入っていて、A4一枚以下のスペースが与えられています。東京2020オリンピックで目指した「ケージフリー」もなかなか実現しません。

現在、最もよく知られる関連著作のひとつに哲学者ピーター・シンガーの『動物の解放』があります。シンガーは動物への「差別」を「種差別」とし、人種や性別に基づいて行われる差別と同じとし、痛みや苦痛を感じる生き物たちへ、人間からの配慮の「枠」をいかに拡大できるかを問いかけています。

「うちの子」たちはお肉をたくさん食べています。卵や乳製品のパッケージによくある広々とした草原とは裏腹な現状。人間の管理下にある他の動物たちも同じことです。「うちの子」の幸せとは格段に違うレベルです。

セミナーの最後に、自分たちに何ができるか?を一緒に考えてみました。まずは「知ること」。そして自分で考えてみてから、アクションを取ること。人間はこの地球に暮らす以上、誰しも動物に関係のない人はいません。アニマルウェルフェアは「動物好きな人」が考えることではなく、人類みんなに関係のある問題である、だから関係ないと言っている人に考えてもらうことが大切、ということをお話しました。

考えてもらうにはどうしたらいいか?こうしたことを一気に一人で解決することはできませんし、無理をしすぎると怒りや分断を生むということをお伝えしています。たとえば「ビーガン」は難しくても基本は植物ベースで過ごしてみる「フレキシタリアン」スタイルなど、より人にも進めやすい柔らかいやり方も今はたくさん選択肢があります。できることからはじめよう、月並みですがそんな話で締めくくりました。

More Than Usオンラインセミナー(全4回)のご案内|More Than Us

More Than Usオンラインセミナー(全4回)のご案内|More Than Us

パフィーズのチャリティー活動である More Than Us。従来は屋外でのイベントやしつけ教室などをやってきました。今回初めて、オンラインセミナーを全4回のシリーズ(予定)で開催!好きな回だけの参加もOK。4回のシリーズを網羅すれば一通り地球環境問題・アニマルウェルフェアの基礎知識が身に着きます。すべての回に参加された方には修了証書とステッカーをお送りします。

なお、本セミナーの参加費全額を、パフィーズのパートナーである犬猫保護団体の支援に従事されている 一般社団法人Do One Goodさん、今回の九州豪雨の被災地で活動する保護団体さんへの寄付をはじめ、チャリティに使わせていただきます。

More Than Us オンラインセミナー全4回(予定)
  • 1回目(9/10):地球はどうなっているの?森とハンバーガーとコロナウイルス (講師:Mari)
  • 2回目(10月):アニマルウェルフェアってなあに?卵と草原と動物解放  (講師:Mari)
  • 3回目(11月):私たちの命は生物学 人間と地球の生き物の進化の歴史(講師:Mike)
  • 4回目(12月):ともに生きよう ドーナツとアリのおじいさん (講師:Mari)

第1回目のお申込みはこちらから

私達の生活に大きな影響を与え、そして現在も影響を与え続けている新型コロナウイルス。今回のウイルスはワンちゃん・ネコちゃんに症状を引き起こすものではありませんでしたが、将来的に人間だけではなくどうぶつにも影響を及ぼす感染症が流行しないとも限りません。次に現れるかもしれない感染症の予防には、自然環境と野生生物の保護が不可欠、そしてそのためのコストは新型コロナウイルスがもたらした経済的損失のたった2%とも指摘されています(英ガーディアン紙)。

新型コロナウイルスだけではありません。近年日本各地で頻繁になった豪雨やこれまでにない猛暑など、私たちは嫌でも「地球はどうなってしまったのか」を考えるようになっているかもしれません。セミナーの講師は「地球の人と生きもののしあわせ」というトピックでずっと国内外で活動してきたパフィーズの共同代表 Mari 。地球環境問題について、わかりやすく・楽しくお話します。

***More Than Us セミナーメイン講師 Mari からご挨拶***

みなさまこんにちは。共同代表 Mari です。小さな頃から身近な自然が好きで、やはり気がついてみたらいつの間にか自然保護に関わる仕事に就いていました。最初はロンドンの環境団体からスタートし、世界のいろんな場所で起きている自然破壊に反対する仕事。当時は日本のお役所や多くの企業からはそういう人は厄介者扱いでした。今は日本でも政府や企業の方向けにお話をしたりすることもあります。そう考えると時代は変わります!ここに希望があります。

そして今、人間の生活も危うい時代に入ってしまいました。地球環境の問題も、動物福祉の問題も、気が遠くなるほど複雑で難しいのはたしかです。でも何かしたいという気持ちがあれば、少しずつ学んでいき自分で判断し動けるようになってきます。

いただいた参加料は全額、寄付をします。大きな金額にはならなくても、「何かしている」「少しでも前に進もうとしている」という気持ちはおそらく今抱えている私たち自身の不安や悲しみを軽減してくれると思います。地球は自分たちが住んでいる場所です。もっと知ることは、損にはなりません(笑)。

セミナーでみなさまにお会いするのを楽しみにしています。

***Mari の過去の講演例***

〇 朝日新聞主催 朝日地球会議「フェアトレードから考える持続可能な社会」 https://www.asahi.com/articles/DA3S13198378.html
〇 福岡市主催 第12回アジア太平洋都市サミットin福岡 SDGsを考える市民講演会 「地球上の人と生き物に”気持ち良い”暮らしとビジネスを」
https://www.fcif.or.jp/latestnews/event/sdgs/

***記事内参考リンク***

The Guardian, “Cost of preventing next pandemic ‘equal to just 2% of Covid-19 economic damage'” (https://www.theguardian.com/world/2020/jul/23/preventing-next-pandemic-fraction-cost-covid-19-economic-fallout?CMP=Share_iOSApp_Other

アニマルウェルフェア(動物福祉)とは?その2|More Than Us

アニマルウェルフェア(動物福祉)とは?その2|More Than Us

今回のブログは、いつもとはちょっと違ったスタイルでお届け。パフィーズの共同代表Mariが「アニマルウェルフェア(動物福祉/Animal Welfare)」について、詳しくお話しさせていただきます。通常のブログよりも長く、内容は硬く、ショッキングな部分もあるかと思います。ライトで楽しい内容の方が読者の皆様は嬉しいのではないか?とも考えましたが、パフィーズのお客様にはぜひ知っていただきたいテーマなので、掲載を決めました。ぜひ愛犬・愛猫のことを思いながらご一読いただけると嬉しいなと思います。

アニマルウェルフェア
パフィーズのサプリメントを使ってくださっているお客様とワン・ニャンたち、いつも本当にありがとうございます。共同代表 Mari です。今回の記事は、会社の意見というよりは、私の個人的な視点が含まれているため、社長 Mike やスタッフの了解も取ってこのような形にさせていただきました。今回のテーマは「アニマルウェルフェア(動物福祉/Animal Welfare)」。これは、「動物のしあわせ」を本気で考えていらっしゃるパフィーズのお客様と、シェアしたいと思うことの一部です。

いくつか前の号で、「アニマルウェルフェア(以下AW)」についてシンプルな記事をスタッフと書いています。「ウェルフェア」というのは「福祉」とか「幸せ」と訳されます。私は一時、ボストンにあるIFAW (International Fund for Animal Welfare:国際動物福祉基金) に自然保護の政策アドバイザーとして所属していました。ゾウなど野生生物保護や、コンパニオンアニマルのレスキュー支援などをする団体です。また今年で9年目になる東京の大学での講義でも、環境の講義の一環で「動物倫理」を教えています。政策という実践的な側面と、倫理という抽象的な側面からAWに触れてきて思うことは、色々な「論争」はさておき、AWにはやはり、私たち人間と地球の未来のカギが含まれているだろうということです。身近な動物たちを私たちがどう扱うかは、ひいては私たちが地球をどう扱うかに通じるものがあるからです。

人間と動物の関係:背景にある考え方とその歴史
チャールズ・ダーウィンの『種の起源』(1859年)で知られる進化論が登場してすでに1世紀半以上、人間と他の生き物との心理的距離というのは縮まってよいはずですが、なかなかそうなりません。人間と動物との関わりについての最初の哲学的な考えは古代ギリシャの書物にも発見されています。プラトンやアリストテレスといった哲学者たちは、動物の「獣性」を人間の「知性」と比較して人間が優れている(より神々に近い)点を強調しています。これが、人間が動物(地球)を人間の都合で扱ってよいとする考えの、一つのルーツとされています。この考えはずっと後の18世紀の有名な哲学者エマニュエル・カントの考えにも見られます。カントは、人間だけが「理性」を持つとして、理性のある人間だけが「契約」を結ぶことができるとしました。つまり、人間が他の人間に対して適用するルールを動物には適用する必要がないということです。

似たような考えとしてより広く引き合いに出されるものに、17世紀の哲学者リンネ・デカルトの「動物は機械である」という表現があります。実際にはデカルトは本当にそう考えていたわけではないとも言われていますが、そのころ盛んに行われていた動物実験をうまく正当化する考え方です。デカルトが動物を機械であるとしたのは、動物には「魂がない」ということが理由でした。

一方、もう一つ脈々と受け継がれてきた考えに、動物は人間のために存在している、というものがあります。「人間以外の動物も、人間のために生まれ養われているのは明らかではないか。」とソクラテスが言ったとされていますが(実際にはどうか明確ではありません)[1]、この考え方は後のキリスト教の考えにも見られ、1970年代の環境保護運動ではキリスト教的な考えが環境破壊のルーツだとして批判の的となりました。 [2] これに対して仏教では人間は自然の一部でありすべてのものに仏性が宿るとされることが強調されました。
[1] クセノポン『ソクラテスの思い出』[2] リン・ホワイト「現在の生態学的危機の歴史的根源」(『サイエンス』1967年3月号)

アニマルウェルフェアのはじまり
犬や猫と暮らすパフィーズのお客様であれば、きっと納得できない気持ちでこれを読まれたことでしょう。私たちは、彼らにもちゃんと精神的な活動があって、喜怒哀楽があって、幸せ不幸せを感じることができることがよくわかるからです。実際に、アリストテレスやプラトンの、すべての動物を「獣性」を宿すとする考えは、動物の観察が足りなかったとされています。

同時に、理性や知性があるからこそ、それを正しく使うのが、人間の品性を高めるということになるのではないか、という考えも、古代ギリシャの頃から存在しています。そして厳密に言えば、AWの中でも人間を中心に置く考えと、動物を中心に置く考えとに分かれています。前者は、「人間の(利便や精神的発展の)ために」動物に配慮する、という考えです。後者は、『動物の解放』で有名なピーター・シンガーや動物の権利を提唱したトム・リーガンの考えのように「動物の(内在的価値、固有の価値、幸せ、苦痛を与えない、などなどの)ために」動物に配慮する、という考えとに分かれます。こうした現在のAWの基本的な考え方についてもいつかもっと詳しく書きたいと考えていますが、パフィーズのお客様はおそらく、動物のために彼らの幸せに配慮したいと考えられるが多いのだろうと私は思っています。

ところが、現在の日本では、少なくとも法律や行政の規則のうえでは、前者がベースです。これが、大変残念ながら、(殺処分をするのは)(地域猫を否定するのは)「犬が(猫が)かわいそう」と言っても通じない理由の一つであり、動物のために行動する人と、そうではない人との間のコミュニケーションがうまくいかない原因となっていることは間違いないと思います。最初から、スタートラインが違っているのです。

動物の幸せや(道徳上の)権利を代弁したい、そういう気持ちでいる私たちの側は、もしかしたらそういう気持ちにならない人の考えを、もっともっと知る必要があるのではないか、と私は考えています。そしてそういう考えをしない人にどうAWを考えてもらうか、を考えることが必要なのだろうなと。そして、AWを考えるには、然に近い環境がより適している動物たちのため地球のこと・そこに住む人たちのことを考える必要があります。パフィーズがオーガニックにこだわる理由もそこにありますし、そんな風に、犬や猫のことも地球視野でお客様と一緒に考えたいと思ったのが、More Than Us というチャリティープロジェクトを作った理由です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも、お客様と一緒に、動物の幸せを考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。-Mari

犬とのフェアな関係ってなあに?」を開催しました|More Than Us

2019年6月23日(日)長崎にあるDogCatista(ドッキャイスタ)さんにてMore Than Usイベント「犬とのフェアな関係ってなあに?~犬のこと、動物のこと、もっと知りたい~」を開始しました。

2018年のMore Than Usイベントにも講師としてお越しいただいたMisakiさんによるトレーニングレッスンと、パフィーズ代表Mariによるトークの2部で行われたイベント。

Misakiさんによるトレーニングレッスンでは、座れ・待て・伏せといった基本を、アイコンタクトを取りながら、またはアイコンタクトを取らずにやってみました。Misakiさんのレッスンは自然なスタイル。「大げさにほめすぎないように」という点が印象的でした。

Mariのトークでは、大きく4つの点についてお話しししました:
・犬のブリードにこだわることは、遺伝的要素しか見ていないことになる、ということ
・個々の犬や人をつくるのはパーソナルプロジェクト(自分が熱意をもってやりたいと思うこと、人生の目標など)だとうこと
・犬の幸せは飼い主さんがどういう人であり、どういう気持ちでいるかが大きくかかわってくるということ
・犬は「自然の生き物」として扱う必要があること

参加者の方々もワンちゃんも、真剣に、でも楽しんでイベントに臨んでくださいました。

トレーナーMisakiさんのアンジュちゃん(下の写真右)、パフィーズの月ちゃん(下の写真左)も一日頑張ってくれました!

動物福祉(アニマルウェルフェア)とは?|More Than Us

今回のブログのテーマは、犬や猫を愛する人にはとても気になる 「アニマルウェルフェア(動物福祉)」!難しくてよくわからない、でも興味がある、というお声が多いのですが、動物と暮らす側としてはいろんな人に紹介できるようになりたいですよね。これはパフィーズでもずっと大切にしてきたテーマ。基本をご紹介します。

パフィーズの考える動物福祉(アニマルウェルフェア)

「動物福祉(アニマルウェルフェア)」とは

アニマルウェルフェア(animal welfare:動物福祉)は、人間が動物を「どう扱うか」を問題にした考え方です。欧米ではそのための法律があったり、一般の人にもよく知られている考え方ですが、日本ではまだなじみがありません。

「ウェルフェア」とは「幸せ」のこと。簡単に言えば、動物の「しあわせ」にも配慮して行動する、という考え方です。


パフィーズのきっかけとなった先代犬パフィー

「言葉を話せない」、「理性を持っていない」ということが、倫理的な配慮をせずに人間が動物を扱う(例:虐待)理由に挙げられますが、アニマルウェルフェアで問題にしているのは、「(例えば喜びや、痛み・苦しみを)感じることができるか」という点。

その意味では、特にほ乳類はすべて、この対象となると考えられています。アニマルウェルフェアで難しいのは、どこで線引きをするのか、すべての動物を同様に扱うのか、といった点です。しかし、コンパニオンアニマルである犬や猫が、「喜び・痛み・苦しみを感じることができる」ということはわかります。

パフィーズとアニマルウェルフェア

パフィーズでは、動物のしあわせへの配慮の枠を、できるだけ大きく広げたい、そういう願いを根本に持って行動しています。

パフィーズは2011年のスタート当初より「生体販売をしていない店舗での販売」という方針を掲げ、今でもそれをしっかりと守っています。過剰繁殖や商業生体販売は、ない方が犬猫にとっては幸せなこと。健康状態や精神状態に影響するからです。


MikeとMariの愛犬Tsuki(月ちゃん)
日本で保護されたカリフォルニア育ちのミックス犬。

現在はペットショップからの子と暮らしていらっしゃるお客様から、「次は保護犬・保護猫を」というお声を聞くことが増えてきました。ペットショップで犬猫を買うのではなく、保護犬や保護猫を家族に迎えること。これはアニマルウェルフェアに根差した選択です。


MikeとMariの愛猫San(三ちゃん)
日本でMikeが会社帰りに保護したノラ猫。