2019~2020年にかけて発生したオーストラリアの森林火災は世界中で大きな注目を集め、日本でも森林火災・山火事という災害が広く認識されるきっかけとなりました。実は、2020年にはロシアのシベリア、アメリカのカリフォルニアでも大規模な森林火災が起き、甚大な被害が出ました。日本ではあまり馴染みのない災害ですが、森林火災は今後2030年までに現在の3倍に増加するだろうと言われています(The Guardian)なぜこのようなことになったのでしょうか。
森林が失われることの本当の意味

森林火災の増加・規模の拡大の原因は、「人為的要因」による気温の上昇であるという報告が数多く出ています。火災によって人の生活・社会、自然に甚大な被害が出ることはもちろん脅威です。ですが、森林火災が真に恐ろしいのは、火災によって地球の肺であり気温や気候を調整してくれる非常に大切な役割を担った森林が減ってしまうということです。森林が失われると、負のスパイラルが始まってしまいます。

オーストラリアの火災の際に各メディアで報道された、コアラやカンガルーの痛ましい姿が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。オーストラリアのコアラやカンガルーに限らず、「森林」と私たちが呼んでいる場所は生き物の住処です。森林に暮らす彼らの生死は、森林が健康であるかどうかにかかっています。火災が起こっているのはオーストラリアだけではありません。記事の冒頭ではオーストラリアの他に、シベリア、カリフォルニアの例をあげましたが、実はブラジルやインドネシアでも毎年大規模な森林火災が起きており、多くの生き物が焼け出されています。特にブラジルやインドネシアのような熱帯地域の森林は、世界で最も生物多様性が豊かな森林でもあります。
森林火災が起こる原因

森林火災の原因は一つには絞れませんが、気温上昇と空気の乾燥による自然発生的なものから、森林を農地にするための人為的なものまで様々です。また、深い森の端が開発のために伐採されると、そこに人が入り、火災が起きやすくもなります。伐採されて劣化した森林は、世界各地で次々と農地に変えられていっており、1分ごとにサッカー場15個分の森林が消えているという報告もあります(Climate Disclosure Project)。オーストラリアやタスマニアの場合には紙やパルプ、バイオマスの原料となるユーカリやアカシアなどの植林、インドネシアではパームの植林、ブラジルでは家畜の飼料である大豆栽培や牛の放牧。そして人口が爆発的に増える今、この風景は広がり続けるばかりです。
私達ができること:買物かごを見直すこと

気候危機をどう回避できるか。これはかなり大きな課題で、残念ながら一人の力では達成することはできません。ですが、私たち一人一人にも、しかも毎日できることがあります。それは、自分が購入する日用品や食べ物の見直しです。
インスタント食品やスナック菓子などを控える
これらの食品には、上でも触れたヤシ(パーム)の実から作られるパーム油が使われています。(参考:WWF Japan)
ティッシュなどの紙製品は認証品を探す
認証品にはパッケージにFSC・PEFCなどのマークが入っています。FSC・PEFCはどちらも、その製品が適正に管理された森林の木材から作られていることを示す国際的な認証制度です。
肉食を控える
食肉、特に牛肉の生産には膨大な環境負荷がかかると言われています。地球温暖化問題などの気候機器の対応策の一つとして、肉食を減らそうという動きは実は欧米ではかなりスタンダードになってきています。頭文字を揃えた「Meatless Monday(お肉を控える月曜日)」、「Meat-Free Monday(お肉なしの月曜日)」といったフレーズを目にしたことがある人もいるかもしれませんが、「週一回お野菜レシピにチャレンジしてみる日」「この日はファスティングをする日!」のように、楽しんで習慣化できたらいいですね。
ゆるやかなアプローチ
個人で行うどのような取り組みも、極端な選択肢を取ってしまうと苦痛やストレスになってしまいかねません。個人が置かれた環境や生活のあり方によっては、「これが本来は一番いいんだろうな」と思われる選択肢をとることが出来ない場合もあるでしょう。「〇〇は絶対ダメ」「〇〇は絶対買わない・食べない」ではなく、「控える」というゆるやかなアプローチで、まずは一緒に買い物かごをちょっと見直してみませんか?
2021年3月公開のMariのコラムに加筆・編集 – Mina
