アニマルウェルフェア(動物福祉)とは?その2|More Than Us

アニマルウェルフェア(動物福祉)とは?その2|More Than Us

今回の記事では、More Than Us FounderのMariが「アニマルウェルフェア(動物福祉/Animal Welfare)」について、詳しくお話しさせていただきます。通常のブログよりも長く、内容は硬く、ショッキングな部分もあるかと思います。ライトで楽しい内容の方が読者の皆様は嬉しいのではないか?とも考えましたが、皆さんにはぜひ知っていただきたいテーマなので、掲載を決めました。ぜひ愛犬・愛猫のことを思いながらご一読いただけると嬉しいなと思います。

アニマルウェルフェア
今回のテーマは「アニマルウェルフェア(動物福祉/Animal Welfare)」。「ウェルフェア」というのは「福祉」とか「幸せ」と訳されます。私は一時、ボストンにあるIFAW (International Fund for Animal Welfare:国際動物福祉基金) に自然保護の政策アドバイザーとして所属していました。ゾウなど野生生物保護や、コンパニオンアニマルのレスキュー支援などをする団体です。また今年で9年目になる東京の大学での講義でも、環境の講義の一環で「動物倫理」を教えています。政策という実践的な側面と、倫理という抽象的な側面からAWに触れてきて思うことは、色々な「論争」はさておき、AWにはやはり、私たち人間と地球の未来のカギが含まれているだろうということです。身近な動物たちを私たちがどう扱うかは、ひいては私たちが地球をどう扱うかに通じるものがあるからです。

人間と動物の関係:背景にある考え方とその歴史
チャールズ・ダーウィンの『種の起源』(1859年)で知られる進化論が登場してすでに1世紀半以上、人間と他の生き物との心理的距離というのは縮まってよいはずですが、なかなかそうなりません。人間と動物との関わりについての最初の哲学的な考えは古代ギリシャの書物にも発見されています。プラトンやアリストテレスといった哲学者たちは、動物の「獣性」を人間の「知性」と比較して人間が優れている(より神々に近い)点を強調しています。これが、人間が動物(地球)を人間の都合で扱ってよいとする考えの、一つのルーツとされています。この考えはずっと後の18世紀の有名な哲学者エマニュエル・カントの考えにも見られます。カントは、人間だけが「理性」を持つとして、理性のある人間だけが「契約」を結ぶことができるとしました。つまり、人間が他の人間に対して適用するルールを動物には適用する必要がないということです。

似たような考えとしてより広く引き合いに出されるものに、17世紀の哲学者リンネ・デカルトの「動物は機械である」という表現があります。実際にはデカルトは本当にそう考えていたわけではないとも言われていますが、そのころ盛んに行われていた動物実験をうまく正当化する考え方です。デカルトが動物を機械であるとしたのは、動物には「魂がない」ということが理由でした。

一方、もう一つ脈々と受け継がれてきた考えに、動物は人間のために存在している、というものがあります。「人間以外の動物も、人間のために生まれ養われているのは明らかではないか。」とソクラテスが言ったとされていますが(実際にはどうか明確ではありません)[1]、この考え方は後のキリスト教の考えにも見られ、1970年代の環境保護運動ではキリスト教的な考えが環境破壊のルーツだとして批判の的となりました。 [2] これに対して仏教では人間は自然の一部でありすべてのものに仏性が宿るとされることが強調されました。
[1] クセノポン『ソクラテスの思い出』[2] リン・ホワイト「現在の生態学的危機の歴史的根源」(『サイエンス』1967年3月号)

アニマルウェルフェアのはじまり
犬や猫と暮らす方は、きっと納得できない気持ちでこれを読まれたことでしょう。私たちは、彼らにもちゃんと精神的な活動があって、喜怒哀楽があって、幸せ不幸せを感じることができることがよくわかるからです。実際に、アリストテレスやプラトンの、すべての動物を「獣性」を宿すとする考えは、動物の観察が足りなかったとされています。

同時に、理性や知性があるからこそ、それを正しく使うのが、人間の品性を高めるということになるのではないか、という考えも、古代ギリシャの頃から存在しています。そして厳密に言えば、AWの中でも人間を中心に置く考えと、動物を中心に置く考えとに分かれています。前者は、「人間の(利便や精神的発展の)ために」動物に配慮する、という考えです。後者は、『動物の解放』で有名なピーター・シンガーや動物の権利を提唱したトム・リーガンの考えのように「動物の(内在的価値、固有の価値、幸せ、苦痛を与えない、などなどの)ために」動物に配慮する、という考えとに分かれます。こうした現在のAWの基本的な考え方についてもいつかもっと詳しく書きたいと考えていますが、この記事を読んでくださっている方の多くは、動物のために彼らの幸せに配慮したいと考えておられるだろうと私は思っています。

ところが、現在の日本では、少なくとも法律や行政の規則のうえでは、前者がベースです。これが、大変残念ながら、(殺処分をするのは)(地域猫を否定するのは)「犬が(猫が)かわいそう」と言っても通じない理由の一つであり、動物のために行動する人と、そうではない人との間のコミュニケーションがうまくいかない原因となっていることは間違いないと思います。最初から、スタートラインが違っているのです。

動物の幸せや(道徳上の)権利を代弁したい、そういう気持ちでいる私たちの側は、もしかしたらそういう気持ちにならない人の考えを、もっともっと知る必要があるのではないか、と私は考えています。そしてそういう考えをしない人にどうAWを考えてもらうか、を考えることが必要なのだろうなと。そして、AWを考えるには、然に近い環境がより適している動物たちのため地球のこと・そこに住む人たちのことを考える必要があります。そんな風に、犬や猫のことも地球視野でお客様と一緒に考えたいと思ったのが、More Than Us というチャリティープロジェクトを作った理由です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも、お客様と一緒に、動物の幸せを考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。

犬とのフェアな関係ってなあに?」を開催しました|More Than Us

犬とのフェアな関係ってなあに?」を開催しました|More Than Us

2019年6月23日(日)長崎にあるDogCatista(ドッキャイスタ)さんにてMore Than Usイベント「犬とのフェアな関係ってなあに?~犬のこと、動物のこと、もっと知りたい~」を開始しました。

2018年のMore Than Usイベントにも講師としてお越しいただいたMisakiさんによるトレーニングレッスンと、パフィーズ代表Mariによるトークの2部で行われたイベント。

Misakiさんによるトレーニングレッスンでは、座れ・待て・伏せといった基本を、アイコンタクトを取りながら、またはアイコンタクトを取らずにやってみました。Misakiさんのレッスンは自然なスタイル。「大げさにほめすぎないように」という点が印象的でした。

Mariのトークでは、大きく4つの点についてお話しししました:
・犬のブリードにこだわることは、遺伝的要素しか見ていないことになる、ということ
・個々の犬や人をつくるのはパーソナルプロジェクト(自分が熱意をもってやりたいと思うこと、人生の目標など)だとうこと
・犬の幸せは飼い主さんがどういう人であり、どういう気持ちでいるかが大きくかかわってくるということ
・犬は「自然の生き物」として扱う必要があること

参加者の方々もワンちゃんも、真剣に、でも楽しんでイベントに臨んでくださいました。

トレーナーMisakiさんのアンジュちゃん(下の写真右)、パフィーズの月ちゃん(下の写真左)も一日頑張ってくれました!

More Than Us:犬とのフェアな関係ってなあに?|More Than Us

More Than Us:犬とのフェアな関係ってなあに?|More Than Us

 

「犬とのフェアな関係ってなあに?~犬のこと、動物のこと、もっと知りたい~」と題して、More Than Usイベントを開催します!講師は、2018年開催のMore Than Usイベントでも講師としてお越しいただいたドッグトレーナのMisakiさんと、パフィーズ代表Mari。当日はトレーニングレッスンやトークの他、ワンちゃん用のヘルシーおやつや手作り食キットの販売もあり!いただいた参加費は必要経費を除いた金額を、保護団体へ寄附します。

《イベント詳細》
参加費:犬同伴1家族1,000円(犬同伴なしの場合は500円)
入場料:犬同伴1家族1,000円(犬同伴なしの場合は500円)
持ち物:クレート(バッグ・マットも可)、首輪、リード、大好きなおやつ
ご予約:お名前・お電話番号・犬の名前・犬種・性別・年齢・ご参加人数をお知らせください。

※ご参加申し込みは締め切らせていただきました。たくさんのお申し込みありがとうございました。※

《お願いとご注意》
・ワンちゃんの同伴は基本的に1匹とさせていただきます。2匹以上同伴をご希望の場合は、事前にご相談ください。
・トーク中、ワンちゃんにはご家族の隣で待ってもらうことになります。クレートやバッグ・マットなどを必ずご持参ください。

《講師のご紹介》
小島美咲:個人の出張ドッグトレーナー(犬のしつけ教室Ange Style アンジュスタイル)
パックまり:動物福祉を考えるMore Than Us代表、パフィーズナチュラルライフ共同代表。自然保護、動物福祉の専門家。

《More Than Usについて》
地球は人間だけのものではありません。ボランティアグループMore Than Usは、この地球をどう他の生き物とシェアするかを考えていく活動をしています。

Location

DogCatista(ドッキャイスタ)店内ドッグラン
〒850-0853 長崎県長崎市浜町8-29 3階

動物福祉(アニマルウェルフェア)とは?|More Than Us

動物福祉(アニマルウェルフェア)とは?|More Than Us

今回のブログのテーマは、犬や猫を愛する人にはとても気になる「アニマルウェルフェア(動物福祉)」!難しくてよくわからない、でも興味がある、というお声が多いのですが、動物と暮らす側としては色んな人に紹介できるようになりたいですよね。これはMore Than Usでもずっと大切にしてきたテーマ。基本をご紹介します。

アニマルウェルフェア(Animal Welfare: 動物福祉)は、人間が動物を「どう扱うか」を問題にした考え方です。欧米ではそのための法律があったり、一般の人にも良く知られている考え方ですが、日本ではまだなじみがありません。

「ウェルフェア」とは「幸せ」のこと。簡単に言えば、動物の「幸せ」にも配慮して行動する、という考え方です。「言葉を話せない」「理性を持っていない」ということが、倫理的な配慮をせずに人間が動物を扱う(例:虐待)理由に挙げられますが、アニマルウェルフェアで問題にしているのは、例えば喜びや痛み・苦しみを感じることができるか、という点。

その意味では、特に哺乳類はすべて、この対象となると考えられています。アニマルウェルフェアで難しいのは、どこで線引きをするのか、すべての動物を同様に扱うのか、といった点です。しかし、例えばコンパニオンアニマルである犬や猫が、喜び・痛み・苦しみを感じることができる、ということは分かります。

More Than Usでは、動物の幸せへの配慮の枠を、できるだけ大きく広げたい、そういう願いを根本に持って行動しています。